需給動向 国内 |
平成26年4〜6月期における北海道の乳用牛への黒毛和種の交配は5万2349頭と、全授精頭数の20.8%を占めた(一般社団法人日本家畜人工授精師協会「都道府県別人工授精頭数」)。北海道は乳用牛の出生頭数が国内の約7割を占めるなど、国内の乳用牛生産動向に大きな影響を与える。 2期連続で20%超え 北海道における過去10年間の乳用牛への黒毛和種の交配率は、おおむね16〜18%台の間で推移してきた。 しかし近年では上昇傾向にあり、26年1〜3月期には3年ぶりに20%を超えた。四半期毎の授精頭数も4期連続で5万頭を超えている(図8)。 堅調な初生牛取引価格が要因 黒毛和種の交配率が上昇傾向にある背景には、交雑種の初生牛取引価格が堅調に推移していることが挙げられる。初生牛取引価格は、23年夏以降に10万円前半で推移した後、24年の秋頃から上昇を始め、26年8月には過去最高となる18万975円に達した(図9)。 この値動きを黒毛和種の交配率と照らし合わせると、両者間にある程度の関連性があることが分かる。酪農家の経営戦略として、初生牛取引価格の変動に応じた生産計画を立てていることが伺える。
将来的な乳用牛の減少の恐れ 飼料価格の高止まりなどによる生産コスト上昇により、酪農家にとって厳しい経営環境が続く状況下にあって、初生牛の販売収入は重要なものとなっている。しかし、乳用牛の再生産が縮小すれば、生乳生産量の減少に直結するほか、北海道から乳用牛を導入するケースが多い都府県の酪農家は、今後乳用牛の確保すら難しくなることも考えられる。 こうした状況に対応するべく、政府は27年度予算において、酪農経営改善緊急対策を新規に要求している。性判別精液の生産や活用、性判別受精卵の活用、飼養環境の改善の支援が主な内容で、優良な乳用後継雌牛を確保しやすくすることで、酪農家の経営安定に資することが目的となっている。
(畜産需給部 岡 久季)
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