米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が11月19日に公表した「Milk Production」によると、2014年10月の生乳生産量は、主要生産州であるカリフォルニア州やウィスコンシン州をはじめとしてほとんどの州で前年同月を上回り、米国全体では775万トン(前年同月比3.8%増)となった。また、2014年第3四半期の生産量も2320万トン(前年同期比3.5%増)と好調に推移している(図22)。堅調な国内需要により依然、生産者乳価が前年を上回っていることから、生産者の増産意欲が維持されていることが挙げられる。
図22 生乳生産量の推移 |
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資料:USDA
注:2014年第4四半期は予測値 |
生乳生産量の増加は、1頭当たりの平均乳量の増加により押し上げられている。同年第3四半期で見ると乳牛飼養頭数は前年並みとなったものの、1頭当たりの平均乳量は、豊作により飼料穀物価格が下落したことから飼料の給餌量が増加したためか、前年同期を3%上回る834キログラムとなった。USDAでは今後も1頭当たり乳量の増加が見込まれるとして、2014年第4四半期の生乳生産について、USDAは前年同期比3.8%増と見込んでいる。ただし、今後、米国の主要酪農地帯では冬季に向かうことから、生乳生産に影響が及んだ2013年のような大寒波が発生した場合、1頭当たり乳量の落ち込みが懸念される。
乳製品、バターを除き増産傾向
USDA/NASSが11月4日に公表した「Dairy Products」によると、2014年10月の乳製品生産量のうち、チーズ、全粉乳、脱脂粉乳は、堅調な輸出需要などを背景に前年同月から増加となった。このうち粉乳類は、全粉乳5900トン(前年同月比171.9%増)、脱脂粉乳5万2000トン(同54.1%増)と共に大幅な増加となった(図23、図24)。チーズも、輸出や国内消費量が堅調であったことを背景に42万7000トン(同4.7%増)となった。一方、バターは、輸出が4カ月連続で前年同月を下回るなど需要の伸び悩みから、5万9000トン(同1.6%減)となった。
図23 全粉乳生産量の推移 |
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資料:USDA |
図24 脱脂粉乳生産量の推移 |
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資料:USDA |
国内消費量は堅調に推移
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2014年9月の乳製品消費量は、全ての主要乳製品が前年を上回って推移している。その中でも特に脱脂粉乳などは、7万トン(前年同月比101%増)と大幅に増加した(図25)。また、チーズも42万1900トン(同5.7%増)とやや増加した(図26)。この要因として、脱脂粉乳などは在庫量の増加や中国向け輸出の減少などにより、卸売価格が大幅に下落(同19%安)したことから、国内仕向け量の増加につながったとみられている。また、チーズは、堅調な国内需要に加え、ファストフード店などでのチーズを使ったメニューの増加などが消費を後押ししたものとみられている。
図25 脱脂粉乳等消費量の推移 |
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資料:USDA
注:無脂粉乳を含む |
図26 チーズ消費量の推移 |
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資料:USDA |
(調査情報部 山神 尭基)
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