需給動向 国内

◆豚 肉◆

10月の豚肉需給、生産量はやや減少、
輸入量は大幅に増加


 平成26年10月の豚肉需給は、生産量は前年同月をやや下回る7万8330トン(前年同月比5.4%減)、輸入量は前年同月を大幅に上回る9万9883トン(同49.7%増)、推定出回り量は前年同月をかなり大きく上回る16万9921トン(同12.8%増)となり、推定期末在庫は22万552トン(同36.5%増)と、前月から8300トンを積み増した(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

10月の輸入、10万トンに迫る量に

 10月の輸入量が10万トンに迫る量となった要因としては、輸入業者が第2四半期におけるセーフガードの発動を回避するべく、9月の冷凍品輸入量を抑制し、10月に通関を繰り延べる動きがあったことが挙げられる。また、輸入相手国別に見て特徴的だったのが、米国産冷凍品である。米国産冷凍品の輸入量は、9月が同47.8%増の8306トン、10月が同76.2%増の1万610トンと大幅に増加したが、米国産豚肉調製品輸入量は、9月が同55.2%減の3411トン、10月が同48.0%減の4896トンと、大幅に減少した(図4)。これは、米国における7月頃の現地相場上昇に伴い、関税率20%の豚肉調製品に分類されるシーズンドポークの価格も上昇し、加工原料用の輸入が調製品から豚肉に移行する動きがあったことによる影響と考えられる。しかし、この動きは一過性のもので、現地相場の低下に伴い、すでに従来通りシーズンドポークに戻っているといわれている。

 このほか、ロシアの禁輸措置もあり現地価格が低下しているEU産冷凍品が多く入ってきたことも、輸入量増加の一因であった。

図4 米国産豚肉調製品輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」

全国一人当たりの豚肉購入量、9月、10月は前年並み

 総務省公表の家計調査報告を基に算出した、26年10月までの全国一人当たりの豚肉購入量および購入金額の推移を見ると、購入量は、25年度はほぼ前年同月を上回って推移したが、26年度は5月に大きく前年同月を下回り、以降は9月まで、一度も前年同月を上回ることなく500グラム前後で推移している(図5)。ただし、9月は前年並みとなり、10月も季節性に準じた増加傾向を示し、前年並みの水準が継続した。

 また、購入金額は、25年3月以降、26年10月まで前年同月を上回って推移している(図6)。25年度は購入量も前年以上の水準であるが、26年度となってからは、購入量が減少したにもかかわらず購入金額が上昇していることから、購入単価が上昇していることがわかる。これは、量販店などにおける小売価格の上昇に加え、特売回数の減少が大きく影響していると思われる。

 このような状況下において、9月および10月ともに購入金額は前年を大きく上回っているものの、ほぼ前年並みの量が購入されており、4月から5月にかけて大きく落ち込んだ豚肉の家計消費は、短期的には回復傾向といえる。家庭で最も多く購入される食肉は依然として豚肉であり、需要は底堅いとみられるものの、最近は鶏肉の購入量が増加傾向にあるなど、価格次第で需要の変化が起こる可能性があることから、今後の購買動向を注視する必要がある。

図5 全国一人当たりの豚肉購入量の推移
注:総務省「家計調査報告」を基に、全国一人当たりの豚肉購入量を算出
図6 全国一人当たりの豚肉購入金額の推移
注1:総務省「家計調査報告」を基に、全国一人当たりの豚肉購入金額を算出
注2:消費税を含まない
(畜産需給部 三田 修司)

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