需給動向 海外

◆米 国◆

日本向け輸出量は2007年12月以来の低水準


第4四半期の生産量は前年を下回る見込み

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が11月20日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2014年10月の豚肉生産量は96万4600トン(前年同月比2.0%減)となった(図11)。枝肉重量は、飼料穀物価格の下落による飼料多給や肥育期間の延長により97.1キログラム(同2.9%増)と前年を上回ったものの、と畜頭数が豚流行性下痢(PED)の影響で995万3100頭(同4.5%減)と前年を下回り、豚肉生産量は減少した。USDAは、第4四半期の生産量を269万8900トン(前年同期比5.2%減)と見込んでいる。

図11 生産量の推移
資料:USDA
  注:枝肉重量ベース

輸入量は堅調に推移

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が11月17日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、豚肉の輸入量は、2014年3月以降前年を上回って推移しているが、9月は4万2600トン(前年同月比22.8%増)と2007年3月以来の4万トン超えを記録した(図12)。輸入先国別に見ると、カナダが3万2800トン(同15.6%増)、デンマークが3100トン(同28.4%増)、ポーランドが3800トン(同およそ3倍増)、メキシコが735トン(同34.5%増)といずれも大幅に増加している。USDAは、この増加要因について、供給量の減少などによる豚肉価格の上昇に加え、カナダドルやユーロなどに対して米ドル高で推移した為替相場を挙げている。また、USDAは、国内生産量の減少により、今後も輸入量は堅調に推移するとしており、第4四半期の輸入量を12万トン(前年同期比13.7%増)と予測している。

図12 輸入量の推移
資料:USDA
  注:枝肉重量ベース

 一方、9月の豚肉輸出量は、15万5500トン(前年同月比13.2%減)となった。輸出先国別に見ると、北米自由貿易協定を締結しているメキシコ(5万2700トン、同15.7%増)やカナダ(2万3600トン、同3.2%増)向けなどが増加した一方、日本向けは3万7200トン(同21.1%減)と2007年12月以来の低水準となった(図13)。USDAは日本向けが減少した要因として、PEDによる米国産豚肉の供給不足への懸念から輸入量を増やした日本の業者が、多くの豚肉在庫を保持しているためとしている。また、香港(5900トン、10.3%減)、豪州(2900トン、28.3%減)向けなども減少しており、USDAは、米国の豚肉価格高と為替相場を要因として挙げている。

図13 輸出量の推移
資料:USDA
  注:枝肉重量ベース
(調査情報部 渡邊 陽介)

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