【要約】

　中国は長期にわたる急速な経済成長に伴い、畜産物の需給は構造的に変化している。本稿では生産、消費、貿易と需給バランスの4つの視点から、中国の畜産物需給の変動に関する分析を行った。その結果、第一に、経営の大規模化は引き続き拡大していること、第二に、都市部と農村部の住民1人当たりの畜産物需要量は一定程度の差が存在していること、第三に、畜産物輸入は今後急速に拡大する可能性があること、最後に、畜産物需給見通しは依然として楽観的ではなく、2030年には畜産物輸入量が622万5000トンに上ると見込まれることが分かった。

1　はじめに

　開放改革以来の経済発展と1人当たり国民所得の増加に伴い、中国は世界最大の畜産物の生産国であり、消費国になっている（Wang et al.，2005）。

　また、食料消費構造を見ると、主に穀物などの炭水化物における1人当たり消費量は、減少を続ける一方、畜産物などのたんぱく質に対する需要は、急激に増加している（鐘甫寧等、2012）。ただし、都市部住民のたんぱく質由来食物の消費量は、日本より少ない（FAO、2014）ことから、人口と1人当たり所得が増加し、たんぱく質由来の食物へのシフトが継続すれば、中国の畜産物消費量は今後も急速に増加する可能性がある。

　畜産物生産量も、技術レベルの向上を背景に急速に増加していることから、穀物は、飼料用としての需要量が増え続ける可能性がある（Zhou et al.，2008）。トウモロコシは主要な飼料用穀物であるが、すでに2010年に純輸入国に転じており、2013年の輸入量は326万6000トンに達している^＊1。中国は、長期にわたり比較的高い穀物自給率を維持してきたが、トウモロコシの大量輸入により穀物の自給率は下がり続けており、国家としての食料安全保障は、重大な局面に差し掛かっている。

　畜産物の輸入については、需要の急速な伸びを反映して急激に増加し、2013年の輸入超過額は28億8600ドルと、前年と比較して4.2倍となっている。

　このように、畜産物は将来の中国の食料安全保障を占う「試金石」として重要な役割を有している。このため、本稿では、中国の畜産物需給の変動を分析し、今後の見通しを試算することとする。

*1：http://www.moa.gov.cn/sydw/mczx/mygj/201402/t20140224_3794803.htm

2　生産の変動分析

　中国の畜産物生産量は増加傾向を示している。1985年から2013年の間に、畜産物生産量は5.5倍になった（表1）。このうち、食肉は4.4倍、家禽卵は5.4倍、牛乳は14倍に増加した。

　2013年の家畜の出荷頭羽数も、1985年と比べ全て増加している^＊2。このうち、牛は4828万2000頭（1985年比9.6倍）、羊は2億6700頭（同5.2倍）、家禽は113億3000万羽（同1.8倍）に達した。

＊2：データ出典「中国統計年鑑」

表1　主要畜産物の生産量

資料：家禽肉は「中国農業発展報告」。畜産物については筆者計算。それ以外は「中国統計年鑑」 　 注：−はデータが無いことを示す。

　畜産物の生産構造は著しい変化を遂げつつある。畜産物全体の生産量に占める比率は、食肉が最大であるが、1985年の71.1%から2013年の57.1%に下落している。一方、牛乳はここ数年急速な伸びを示しており、畜産物の生産量に占める比率は、2005年に家禽卵を超えて食肉に次ぐシェアとなり、2013年には23.6%に達した。家禽卵の比率は、約19%と比較的安定している。

　食肉生産量の内訳を見ると、過去30年間にかなり大きく変化している。具体的には豚肉の比率が大幅に下落した一方、家禽肉および牛肉の比率が著しい伸びを示し、羊肉はほぼ安定的な比率を保っていることである。

　中国で最も生産量が多い食肉は常に豚肉であった。1985年と2013年を比べると、豚肉の生産量は3.3倍に増加したが、食肉に占める比率は85.9%から64.4%に下落した。

　一方、豚肉に次ぐ生産量を誇る家禽肉は、1980年代以降、生産量が急速に伸び、2012年の生産量は1985年の11.4倍となる1823万トン、食肉の生産量に占める比率も1985年には8.3%から2012年には21.7%に上昇した。

　牛肉は、食肉生産量に占める比率が豚肉や家禽肉に及ばないものの、成長は最も著しく、2013年の生産量は1985年の14.4倍の673万2000トンに増加し、食肉全体の生産量に占める比率も1985年の2.4％から7.9%まで上昇した。

　羊肉の生産量は、食肉に占める比率が約3〜5%と最小である。しかし、生産量は1985年の59万3000トンから、2013年には約7倍の408万1000トンに増加した。

　2000年代に入り、主要な畜産物の規模拡大は著しく進展した。2001〜2010年において、1戸当たりの飼養規模は採卵鶏と肉用鶏で2倍以上、豚は約1.5倍となった。肉用牛や羊の飼養規模は豚や鶏よりもかなり小さいが、2005年と2010年を比べると、肉用牛が21.7%、羊が18.3%とそれぞれ増加している（表2）。大規模化により、畜産物の量と質に対する消費者ニーズは、これまで以上に満たされるとみられる（Ortega & Wang、2010）。

表2　主要畜種の1戸当たりの飼養規模

資料：各年の「中国牧畜業年鑑」 注1：−はデータが無いことを示す。 　 2：豚は出荷数50頭以上の規模の養豚場（戸）当たり平均値。採卵鶏は年間の養鶏羽数 　　　500羽以上の規模の養鶏場の平均値。肉用鶏は年間の養鶏規模2,000羽以上の規模の 　　　平均値。肉牛は年間飼養頭数10頭以上の養殖場（戸）の規模の平均値。羊は年間の 　　　飼養頭数30頭以上の養殖場（戸）の平均値とした。 　 3：増加率は、肉用牛と羊は2005年と2010年の比較、それ以外は2001年と2010年の比較である。

　生産コストと収益について見ると、純利益は物価や労働力などの価格上昇に伴い、年々増加する生産コストの影響を受けて変動している。これは畜産物の生産には一定の周期性があり、さらに一定のリスクが存在することを示している。規模拡大していない零細の農場と比べ、大規模化した農場では利益変動のリスクを有効にヘッジすることが可能である。養豚生産を例にとると、2000〜2012年において、零細農家の純利益の変動幅は大規模農場よりも明らかに大きく、大規模では相対的に安定していた。このことは、大規模農場の方が、市場リスクへのヘッジ能力が相対的にかなり高いということを示している。

　以上は、規模の経済が生産の大規模化を推進する理由（MacDonald et al.，2009）であるが、中小規模の方が大規模農場よりも収益に対するコストの優位性がある程度大きい（李�Y、2007）。表3から分かるように、乳用牛を除き、中小規模の農場における畜産物生産の純利益は通常、零細農家や大規模農場よりも高い。

表3　主要畜産物の生産コストおよび収益

資料：各年の「全国農産品コスト収益資料集」 　 注：統計対象が変更されたため、本表では統合処理を行った。 　　　その中、2000年の専業の国営集団経営は肉用鶏では中規模、採卵鶏では大規模に 　　　分類した。また、2000年の純利益は税引き後純収入である。

3　1人当たり消費の変動分析

　1人当たり国民所得の増加と都市化の継続的な進展により、食料消費構造と栄養構造にはかなり大きな変化が起きつつある（Popkin and Du、2003）。具体的には、低熱量の穀物と野菜の摂取から、高熱量の食肉と乳製品の摂取へと「洋風」に転換しつつある（Yu and Abler、2009）。これは、1985〜2012年における1人当たり穀物消費量の推移から明らかで（表4、表5）、また、畜産物については統計対象が異なるが、都市部の住民の消費量は明らかに農村の住民より多い。

　都市部の住民1人当たり穀物消費量は、1985年は131.2キログラムであったが、2012年には39.9%減の78.8キログラムとなった。一方、畜産物の消費量は継続的に増加し、39.2キログラムから同53.4%増の60.2キログラムとなっている^＊3。そのうち、家禽類肉と牛乳の伸びが最も著しく、1985年と比較して、2012年はそれぞれ2.8倍と2.2倍に伸びている。その他の畜産物も増加しており、1985〜2012年では、豚肉、牛羊肉、卵の1人当たり消費量は、それぞれ23.3%、23.3%、19.3%増となった。

表4　都市部の主要食品1人当たり消費量

資料：「中国統計年鑑」 　 注：都市部住民の1人当たり購入量。

　農村部住民の食料消費構造の変化は都市部より著しい。2012年の農村部の1人当たり穀物消費量は、1990年から36.2%減の164.3キログラムであったが、畜産物^＊4は2.2倍の34.7キログラムに増加した。このうち、牛乳・乳製品の伸び率が最大であり、2012年は1990年の4.8倍の5.3キログラムとなった。その次は卵・卵製品で、伸び率は約1.5倍であった。食肉（食肉製品を含む。）もかなり大きく伸びており、1990年の12.6キログラムが2012年には約1.9倍の23.5キログラムとなっている。食肉の中で消費量の伸び幅が最も大きいのは、家禽類肉で、1990年から2012年の間に3.5倍増加している。一方、伸びが最も小さかったのは豚肉で、増幅は1.4倍であった。

表5　農村部の主要食品1人当たり消費量

資料：「中国統計年鑑」 　 注：穀物は加工していないもの。

　都市化の進展に伴い、農村人口の多くが農村から都市に流入し労働者となっている。2012年、農民出身の労働者の総数はすでに2億6000万人に達した。このうち、農村からの出稼ぎは1億6000万人と、日本とカナダの人口の合計に相当する。出稼ぎ農民の食物消費の特徴は、都市部住民、農村部住民の特徴とは一部異なっている。

　筆者が2013年夏に行った出稼ぎ農民の消費動向に関する調査では、出稼ぎ農民の畜産物消費量は、都市部に流入した後、ある程度増加しているが、都市部の消費量には及ばないことが分かった。

　調査結果によると、出稼ぎ前後で、牛乳・乳製品は伸び幅が最も大きく42.5%増、食肉14%増、卵類12.7%増といずれも増加した。増加の主な要因は収入の増加、消費習慣の変化と消費の利便性の向上である。

　需要の理論によると、畜産物の消費に影響する主な要因には、収入、畜産物価格、その他の関連商品の価格がある。筆者が全国世帯調査データに基づき、都市部住民と農村部住民の畜産物に対する消費弾力性について分析したところ、都市部住民の豚肉、牛肉、羊肉、家禽肉、家禽卵、牛乳・乳製品に対する需要・収入弾力性は、それぞれ0.288、0.338、0.343、0.343、0.312、0.313であり、価格弾力性はそれぞれ−0.729、−0.645、−0.332、−0.940、−0.677、−0.839であることが判明した。農村部住民の豚肉、牛肉、羊肉、家禽肉、家禽卵、牛乳・乳製品の需要収入の弾力性はそれぞれ0.465、0.262、0.004、0.105、0.349、0.134であった。価格弾力性はそれぞれ−0.236、−0.035、−0.324、−0.048、−0.283、−0.026であった。

　このことから、都市部住民は、牛肉、羊肉と家禽肉の消費量は、収入に対して比較的敏感であり、家禽肉、牛乳・乳製品と豚肉の消費量は、価格に対して比較的敏感であることが分かる。これに対し、農村部の住民は、収入が増加すると、豚肉、家禽卵、牛肉の購入が多くなる傾向があり、価格の変化には羊肉、家禽卵、豚肉がより敏感であることが分かる。

＊3：豚肉、牛肉、羊肉、家禽肉、卵、牛乳を含む。
＊4：食肉およびそれらの製品、卵および卵製品、牛乳および乳製品を含む。

4　貿易の変動分析

　中国は畜産物の純輸出国から純輸入国に、輸出超過国から輸入超過国にすでに転換し、2013年の畜産物の純輸入量は120万4600トン、輸入超過額は21億7400万ドルに達した（表6）。

　畜産物貿易の流れを見ると、羊肉はほぼ輸入超過を続けており、輸入超過額は2000年の800万ドルから2013年の9億2300万ドルに拡大している。豚肉、牛肉と牛乳は輸出超過から輸入超過に変わっている。2013年現在、家禽肉製品と卵製品のみ輸出超過となっている。

　畜産物のうち、豚肉と家禽肉製品は伝統的に主要な輸入品であったが、近年、牛肉、羊肉、牛乳の輸入量も拡大傾向にある。2005年と2013年を比べると、豚肉、牛肉、羊肉、牛乳の輸入量の伸び率は全て5倍を超えている。そのうち、牛肉が267倍、牛乳も48倍に増加した。

　家禽肉製品と卵製品は主要な輸出品であり、家禽肉製品が主要畜産物輸出量に占める割合は、2005年の約20%から2013年には約70%まで増加した。卵製品の輸出量は減少傾向にあり、2013年は、2000年の9%に相当する9万3300トンとなった。

表6　主要畜産物の貿易量および貿易額

資料：農業部貿易促進センター 　 注：家禽肉製品には家禽およびその他の禽類の肉が含まれる。

　畜産物の輸入は主に豪州、米国、ニュージーランド（NZ）からであり、豪州からは主に牛肉、羊肉、乳製品を、米国からは豚肉、家禽肉、乳製品を、NZからは乳製品を輸入している。主要な輸出国は日本と香港であり、主に家禽肉製品と豚肉を輸出している^＊5。

　畜産物の純輸入量と貿易赤字の拡大は、供給不足を受けた畜産物の内外価格差と関係がある可能性がある。図1からわかるように、牛肉の国内外の価格差は相当大きく、豚肉は比較的小さい。

＊5：当該部分の資料は「2013中国農産物貿易発展報告」。

図1　中国と世界の牛肉、豚肉価格

資料：中国の価格は中国農業情報ネット（http://www.agri.gov.cn）より抜粋。世界の価格は 　　　IMF資料より。米ドル対人民元の為替レートは中国外貨管理局の資料に基づいた。

5　需給バランスと今後の見通し

　畜産物需給表の作成は、目下、難題の一つである。国家統計局が公表するデータをそのまま使って需給表を作成すると、以下のような複数の問題が発生する可能性がある。

　まず、国家統計局が公表している畜産物生産量は実際と異なる可能性がある。国家統計局は1996年と2006年の2度にわたる農業センサスの結果を基に、食肉の畜産物生産量の統計データを補正している（1996年は平均22.3%減少補正、2006年は平均11.95%減少補正）が、補正後もなお、実際とは食い違う嵩増しがなされているのではないかと指摘する研究者も多い（鐘甫寧、1997；盧峰、1998；Fuller et.al.，2000; Wang，2004）。第二に、国家統計局が公表した1人当たり畜産物需要量には外食分が含まれていないため、実際には1人当たり畜産物の需要量は、統計局が公表した数字よりも大きいはずである（盧峰、1998）。第三に、畜産物の損耗のデータはなかなか得られない。

　これらの問題を解決するには、まず国家統計局のデータに1人当たりの外食消費係数を乗じ、より正確な畜産物の1人当たり需要量を把握する。次に、損耗率を推計し、畜産物の損耗量を計算する。最後に「畜産物の生産量=畜産物の食用需要量+損耗量−純輸入量」という需給バランスを用いて、かなり実態に近い畜産物生産量に調整するのである。

　本稿では、2010年における都市部と農村部の住民の畜産物外食消費率を、それぞれ1.23と1.11に設定した。これは、陳永福（2004）による畜産物の平均外食消費率の推計方法を参考にした上で、既存研究の最大値と最小値の間から適切な値を取ったものである。

　畜産物を消費する過程での損耗には、畜産物供給者が供する総重量と市民が購入する畜産物の重量の差（例えば廃棄する骨や内臓の一部など）と、販売中にたまたま損耗してしまったものが含まれる。畜産物の損耗率とは通常、研究者の経験値とするが、本論では陳永福（2004）を基に調整を行い、豚肉、牛肉、羊肉、家禽肉、家禽卵、牛乳・乳製品の損耗率をそれぞれ0.31、0.41、0.41、0.61、0.15、0.23に設定した。

　上述の計算により作成したのが、2010年の主要畜産物の需給表（表7）である。表7の中で筆者が推計して得た畜産物生産量と、国家統計局が公表した生産量とを比較してみると、主要畜産物の生産量は、家禽肉を除いて全て国家統計局が公表した生産量より明らかに少ないことが分かった。

　筆者は、食品全体で作成した需給モデルを基に、主要畜産物の2030年における需給見通しを行ったが、このうち中位増加モデルの結果が表8である。2030年、中国の主要な畜産物は依然として供給が需要に追いつかない状況となっており、622万5000トンの輸入が必要である。そのうち、豚肉と羊肉は自給を維持することが可能である。家禽肉の需給不均衡は最大であり、415万4000トンに達する。次が乳製品であり、114万3000トンの輸入が必要である。牛肉と家禽卵の需給不均衡はそれぞれ87万7000トンと53万3000トンとなる。

　2010年と比較すると、輸入の伸び幅が最大なのは牛肉で、2030年には2010年の50倍になるであろう。牛肉に次いで伸びが見込まれるのが家禽肉であり、輸入量は2010年に比べ12.7倍の増加と予測される。乳製品の輸入も増加傾向にあり、伸び幅は1.6倍である。家禽卵は純輸出から純輸入に転じ、羊肉は純輸入から純輸出に転じるであろう。

表7　主要畜産物の需給表（2010年）

資料：（1）生産量*、食用需要量、損耗量は筆者による推計値；（2）生産量**は 　　　「中国統計年鑑」；（3）輸入量と輸出量はUSDAのデータによる。 注：このデータは統計対象が異なるため、中国税関のデータとの間に若干の誤差が存在する。

表8　主要畜産物の需給見通し（2030年）

資料：筆者による試算。

6　まとめ

　本稿は、生産、消費、貿易、需給バランスという四つの角度から中国の畜産物の需給変動に対して分析を行ったものである。それにより得られた主な結論は次の通りである。

　第一に、中国の畜産物生産量と出荷量はともに拡大傾向を示し、生産構造の変化も著しい。また、生産の大規模化も進展中である。畜産物生産に占める食肉の比率は下降しており、牛乳生産量の割合が増加している。

　第二に、中国の都市部と農村部の食料消費構造はすでに大きく転換しており、畜産物の1人当たり需要量も増加を続けている。畜産物の1人当たり消費量は都市部住民においても、農村部住民においても増え続けている。中でも、牛乳・乳製品と卵類の消費の伸び幅が最大であるが、農村部と都市部の住民では、畜産物の消費量はある程度の差が存在している。出稼ぎ農民の畜産物消費レベルは、都市部住民と農村部住民の中間程度であり、都市部に流入する過程において、畜産物消費量はある程度増加している。都市部住民の牛肉、羊肉、家禽肉の消費量は収入レベルによって異なり、農村部の住民は収入が増加すると、豚肉、家禽卵、牛肉の購入が増加する傾向にある。都市部住民は家禽肉、牛乳・乳製品、豚肉の価格に対して比較的敏感であり、農村部の住民は羊肉、家禽卵、豚肉の価格変化に比較的敏感である。

　第三に、中国はすでに畜産物の純輸出国から純輸入国、輸出超過国から輸入超過国に変わっており、国内需要の堅調な増加と畜産物の内外価格差が存在していることが、輸入が急速に拡大している理由であろう。主要な畜産物のうち、牛肉と乳製品の輸入量の増加速度が最大である。家禽肉製品と卵製品は以前から中国の主要輸出品目であるが、近年、輸出量は減少している。中国の畜産物は主に豪州、米国、NZから輸入されており、主要な輸出市場は日本と香港である。

　第四に、将来、中国の畜産物の需給情勢は楽観的ではない。国内でほぼ自給可能なものは豚肉と羊肉しかなく、2030年には、畜産物622万5000トンの輸入が見込まれる。2010年と比較して、牛肉と家禽肉の輸入量はともに大幅に増加し、家禽卵も純輸出から純輸入に転換するであろう。政府は、関連産業の発展計画の策定に当たっては、牛肉、家禽肉、家禽卵の情勢を見極めた上で、畜産物と飼料用穀物の輸入についての戦略を検討すべきである。

参考文献

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