需給動向 海外 |
◆米 国◆
と畜頭数の減少に保留傾向高まりの表れ |
4月のと畜頭数は1974年以降最低を記録 米国農務省全国統計局(USDA/NASS)が5月21日に公表した「Livestock Slaughter」によると、牛のと畜頭数は、2014年1月以降前年を下回って推移しているが、2015年4月は前年同月比8.2%減の234万5900頭と、4月単月としては1974年以降最低の水準となった(図1)。内訳を見ると、去勢牛が同7.3%減、未経産牛が同11.1%減、肉用経産牛が同16.2%減と軒並み前年を下回った。減少要因についてUSDAは、牧草の状況が改善に向かっていることから、未経産牛および経産牛を中心に保留が進んでいるためとしている。 また、同月の1頭当たりの平均枝肉重量は369キログラムと、前年同月を2.8%上回った。増加要因についてUSDAは、雌牛のと畜減少に伴い、体重の重い去勢牛のと畜割合が増加したことを挙げている。なお、今後も去勢牛のと畜割合が増加するため、平均枝肉重量は増加傾向で推移するとみられている。 この結果、同月の牛肉生産量は同5.6%減の87万5000トンとなった。
肥育もと牛価格は1年11ヵ月連続で前年を上回る USDA/ERSが5月29日に公表した「Livestock Prices」によると、飼養頭数の減少および保留傾向の高まりにより、2013年7月以降前年を上回って推移している肥育もと牛価格(去勢牛、600〜650ポンド)は、2015年5月も100ポンド当たり252米ドル(1キログラム当たり694円:1米ドル=125円)(速報値)と、前年同月を21.4%上回った(図2)。また、同局が公表している「Wholesale Prices」によると、同月の牛肉卸売価格(カットアウトバリュー(注))は同13.6%高の100ポンド当たり260米ドル(1キログラム当たり717円)(速報値)となり、2013年3月以降前年を上回って推移している。 (注)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
輸出量は国内価格高などで前年割れ USDA/ERSが6月4日に公表した「Monthly US Trade」によると、2015年4月の牛肉輸出量は、前年同月比3.6%減の9万1000トンとなった(図3)。減少要因についてUSDAは、牛肉生産量が減少する中、国内の価格高と為替相場が米ドル高で推移したことを挙げている。主要輸出国別に見ると、日本向けが同4.8%増、韓国向けが同21.7%増となった一方、メキシコ向けが同25.2%減、香港向けが15.9%減、カナダ向けが10.4%減となった。日本向けとしては、西海岸港湾における労使交渉難航に伴う物流の混乱が緩和されたことなどから増加した。また、USDAは、2015年の輸出量を前年比4.3%減の111万6000トンと見込んでいる。
(調査情報部 渡邊 陽介)
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