需給動向 海外 |
◆ブラジル◆
2015年1〜3月の鶏肉輸出量、前年からわずかに増加 |
日本向けは減少 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2015年1〜3月の鶏肉輸出量は、前年同期比0.7%増の83万2126トンとなった(表4)。米国での鳥インフルエンザの発生に伴い、鶏肉輸入国の一部でブラジル産に切り替える動きがあったことや、為替相場が2006年以降、最も米ドル高レアル安で推移したことが、輸出を後押しする要因となった。同期間の内訳を見ると、最大の輸出先であったサウジアラビア向けは前年並みとなった一方で、第2位の日本向けは、前年同期比4.6%減となった。これは、日本市場で競合するタイ産生鮮鶏肉の輸入が、2013年末の再開以降、段階的にシェアを拡大させていることによる。この他、中国向けも、同国が米国での鳥インフルエンザ発生に伴い、2015年1月12日以降、米国産鶏肉の輸入を停止しているため、ブラジル産鶏肉の代替需要が高まり、同29.2%増となった。 なお、2015年1〜3月の平均輸出単価は、米ドル建てで同8.5%安となったが、為替相場が前年同期比2割程度米ドル高レアル安となったことから(図13)、レアルベースでのブラジルの輸出業者の輸出金額は、増加しているとみられる。
過去最高の見通し 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2月20日、2015年のブラジルの鶏肉生産量について、過去最高となる1301万3000トン(前年比2.5%増)と予測した(図14)。この主な要因として、国内市場では、ブラジル経済の低迷に伴って安価な鶏肉の需要が増すことを挙げている。また、輸出面では、米ドル高レアル安で推移する為替相場が輸出を後押しし、過去最高の366万5000トン(同3.0%増)と見込まれることを挙げている。
2014年の鶏肉生産費、前年より上昇 ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)によると、2014年における主産地パラナ州の鶏肉生産費は、前年比6.5%高の生体1キログラム当たり2.13レアル(約83円、1レアル=39円)となった(表5)。増加の主な要因として、飼料費、ひな費、輸送費の上昇が挙げられる。ひな価格の高騰は、2015年に入っても続いており、生産者販売価格が前年を下回る中で、収益性悪化の要因となっている。 同国は、原種鶏の一部を米国から輸入しており、米国の鳥インフルエンザ流行の影響が懸念されている。
(調査情報部 米元 健太)
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