需給動向 海外 |
◆中 国◆
2015年の鶏肉生産量、消費量ともに前年並みの見込み |
2015年の鶏肉生産量は、前年並みの1311万トン 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2015年の中国の鶏肉生産量は、前年比0.2%増の1311万トンと見込まれる(図15)。USDAは増加の理由として、米国産鶏肉の輸入停止措置(注)により、国内の価格(平均小売価格)が上昇し、生産者の増産意欲が増していることを挙げている。ただし、中国国内でも高病原性鳥インフルエンザ(AI、H5N6型)が断続的に発生していることや、飼料価格が上昇していることなどから、増産は前年並みにとどまるとしている。 (注)中国農業部および国家質量監督検査検疫総局は2015年1月12日、米国太平洋岸北西部において
中国はブロイラーの原種鶏を全て輸入に依存しており、その9割以上を米国から導入している(図16)。中国畜牧業協会によると、今般の輸入停止措置は生体鶏にも適用されるため、中国の輸入企業は現在、フランスなど米国以外からの調達を模索しているものの、輸入量が限られることから、2015年第4四半期以降、原種鶏不足が深刻化するとしている。また、このまま輸入停止措置が継続すれば、2017年の鶏肉供給に影響が及ぶと見込んでいる。
2015年の鶏肉消費量は前年並みの1290万トン USDA/FASによると、2015年の鶏肉消費量は、1290万トン(前年比0.1%減)、1人当たり消費量は、9.4キログラムといずれも前年並みと見込まれている(図17)。 USDAは、近年の鶏肉消費の伸びが鈍化している理由として、豚肉価格が下落し、鶏肉への需要のシフトが起こりにくいことや、国内で発生しているAIの影響を挙げている。特に鶏肉消費の多い中国南部では、連日、ヒトへの感染が報道されているため、風評被害などで消費はなかなか伸びないとしている。
国内の主要都市では、AIのまん延を防止するために生体取引を禁止する動きが広がっている。養鶏農家の多くは、伝統市場(ウェットマーケット)へ生体鶏を出荷しているため、この措置に反発する声も上がっているが、今後、消費者の購買行動も生体鶏から生鮮鶏肉に移っていくとみられる。 2015年1〜4月の冷凍鶏肉輸入量は前年同期比4.1%増 2015年1〜4月の冷凍鶏肉の輸入量は、前年同期比4.1%増の13万5818トンと、やや増加した(表6)。2015年通年の輸入量について、USDAは、米国産家禽肉の輸入停止措置によって、かなり減少すると見ている。一方で、2014年に中国の輸入鶏肉市場のシェアを米国と二分していたブラジルが、2015年は米国の減少の大部分を補うと見込んでいる。
(調査情報部 木下 瞬)
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