需給動向 国内 |
むね肉卸売価格、30カ月連続で前年を上回る
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平成27年4月の鶏肉需給は、生産量12万7202トン(前年同月比0.9%増)、輸入量4万6182トン(同13.0%増)、推定出回り量17万5548トン(同7.0%増)となり、推定期末在庫は前月より2164トンを取り崩し、11万5204トン(同12.0%増)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 このような状況の中、5月の卸売価格は、もも肉が1キログラム当たり633円(同2.1%高)、むね肉が同337円(同21.2%高)と堅調に推移した。特に、加工需要が旺盛なむね肉は、昨年7月下旬に発生した中国産「消費期限切れ鶏肉」問題を受けて、多くの加工業者が国産原料に移行しているとみられることなどから、30カ月連続で前年同月を上回る高値が続いている。 平成26年のブロイラー処理羽数・重量、ともに3年連続の増加 平成27年5月29日に公表された農林水産省「食鳥流通統計調査(平成26年)」によると、26年1〜12月の食鳥処理羽数は7億5675万羽(前年比1.1%増)、処理重量は213万トン(同2.4%増)と、過去最高を更新した(図5)。
このうち、全体の9割を占める「肉用若鶏」(ふ化後3カ月齢未満のブロイラー、以下「ブロイラー」という)の処理羽数は6億6103万羽(同1.1%増)、処理重量は194万6千トン(同2.2%増)であった。ブロイラー処理羽数は、牛・豚肉との価格優位性に支えられた需要増への対応に加え、配合飼料価格などの生産コストの上昇による収益減を羽数増で相殺させる動きもあり、3年連続の増加となった。1羽当たりの処理重量は2.94キログラム(同1.1%増)であり、10年前(平成17年の2.80キログラム)と比べて、5.0%の増体となっている。 また、全体の約1割を占める「廃鶏」(採卵鶏または種鶏を廃用した鶏)の処理羽数は8736万羽(同1.3%増)、処理重量は15万5千トン(同5.6%増)であった。この増加は、夏の猛暑による鶏の熱死のほか、それに伴い、夏から年末にかけて鶏卵価格が高騰し、一部生産者が成鶏更新の繰り延べを行ったことなどが影響して減少した25年の反動とみられる。 ブロイラー出荷羽数割合、上位3県で約6割 都道府県別出荷羽数を見ると、「ブロイラー」は、鹿児島県が最も多く、全国に占める割合は20.1%、次いで、宮崎県が19.2%、岩手県が16.6%と上位3県で出荷羽数の約6割を占めた(図6)。 「廃鶏」は、採卵鶏の主産地である茨城県が最も多く7.8%、次いで、鹿児島県が6.6%、千葉県が6.2%であった。 「その他の肉用鶏」(ふ化後3カ月齢以上の鶏)は、比較的飼養期間が長い地鶏や銘柄鶏が対象となっており、徳島県(阿波尾鶏など)が最も多く24.5%、次いで兵庫県(丹波地どりなど)が10.2%、福島県(会津地鶏など)が8.3%と、上位3県で出荷羽数の約4割を占めた。
(畜産需給部 二又 志保)
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