需給動向 国内 |
平成27年5月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり230円(前年同月比26円高)と、4カ月連続して前月を上回った(図10)。5月の230円という水準は、平成3年(同241円)以来の高水準である。 鶏卵卸売価格は、既報(本誌6月号)のとおり、例年、年末をピークに年始に下落し、2月にいったん持ち直すものの、気温の上昇と共に生産が増加することに加え、それまで相場を支えていた鍋物などの冬季需要が減少することから、春から夏場にかけて低下する傾向にある。しかし、本年は、2月以降も上昇傾向で推移するという、異例の展開を見せている。 こうした価格の推移について供給面から見ると、採卵用ひなえ付羽数が増加しており、気温の上昇とともに産卵の最適期を迎えていることから、鶏卵生産は安定して推移していると思われ、供給要素が相場上昇要因であるとは考えにくい。 一方、需要面では、量販店の特売需要、大手ファストフードの鶏卵を使用した商品展開などに加え、外国人観光客の増加によるホテル・外食関係での需要が強く、業務加工筋からの引き合いも堅調だったことから、これらの要因が好調な相場を支えたものと考えられる。 今後については、供給面では、安定した生産が継続すると言われている。一方、需要面では、梅雨を迎え、その後夏場に入ることとなるが、現状の好調な需要がどの程度継続するか注視したい。
(畜産需給部 藤原 琢也)
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