需給動向 海外 |
2014年の乳用牛飼養頭数、生乳生産量ともに前年から増加 |
2014年の生乳生産量は前年比5.5%増の3725万トン 2015年5月末に開催された「第6回中国乳業大会」(主催:中国乳業協会)において、2014年の乳用牛飼養頭数が1460万頭(前年比1.3%増)、生乳生産量が3725万トン(同5.5%増)となったことが明らかになった(図32)。これは、いずれも過去最高を記録した2012年に次ぐもので、中国農業部では、今般の酪農・乳業の発展は、農場の大規模化と乳用牛改良の推進によるものとしている。前者について、政府は昨年、1000カ所の農場を対象に規模拡大の資金援助を行っており、その結果、飼養頭数100頭以上の農場が全体の45%に拡大したとしている。また、後者については、在来種など乳肉兼用種主体から、ホルスタインもしくはその交雑種を8割以上とした結果、1頭当たり乳量は前年から500キログラム増加し、6000キログラムに達したとしている。 また、大会の中で同部は、中国の乳業は現在、海外との競争にさらされていることから、さらなる合理化による競争力強化と品質管理の徹底を訴えている。
乳価は引き続き下落傾向 中国農業部によると、生乳の農場出荷価格(乳価)は2014年1月以降、下落基調にあり、2015年5月は1キログラム当たり3.4元(約69円:1元=20.3円)となった(図33)。特に、山東省などでは、乳価の下落幅が全国平均に比べ大きく、依然として一部の酪農家の間で生乳を廃棄したり、乳用牛を淘汰する状況が発生している。 こうした背景には、国内乳業メーカーが、乳飲料や乳製品の原料として国産生乳より安価で高品質な輸入粉乳の使用割合を増やしていることがある。さらに、最近、乳製品の国際相場が軟化しており、国内の乳価はその影響を受けているとみられる。
2015年1〜4月の粉乳輸入は前年から大幅に減少 2015年1〜4月の粉乳の輸入量のうち全粉乳は、19万6000トン(前年同期比53.4%減)となり(表8)、ニュージーランド(NZ)が19万3000トン(同49.3%減)と全体の98%を占めた。また、脱脂粉乳の輸入量は、7万6000トン(同32.7%減)となった(表9)。最大の輸入先はNZで5万6000トン(同2.2%減)と全体の7割を占め、豪州、米国、ドイツと続いた。 粉乳(全粉乳および脱脂粉乳)については、2014年上半期に前年を大きく上回るペースで輸入された結果、過剰な在庫を抱えることとなったため、国内乳業メーカーは現在も在庫の消化を行っている。これにより、粉乳輸入量は2014年下半期以降、前年を下回る状況が続いている。
また、同期間のホエイについても、11万5000トン(同10.0%減)と、2013年をピークに減少傾向にある(表10)。ホエイについては、国内のチーズ生産量がわずかなため、ほぼ全てが輸入で賄われている。ホエイの約6割が仕向けられる養豚用などの飼料用需要は、最近の豚飼養頭数の減少などを受けて低下しているものとみられる。
一方、育児用粉乳の原料用は近年需要が高まっている。こうしたことから、国内乳業メーカーは海外でホエイを生産する動きを強めている。育児用粉乳メーカーの聖元食品は、2014年にフランスで自社のホエイ工場の建設を開始し、2015年末に稼働させる予定である。同じく輝山乳業も欧州企業との業務提携を進めており、今後、海外での生産を開始するものとみられる。 (調査情報部 木下 瞬) |
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