需給動向 海外 |
生乳生産は増加に転じ、国際価格は下落続く
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4月の生乳生産量、前年同月比で増加に転じる ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2015年4月の生乳生産量は139万6000トン(前年同月比8.5%増)となり、3カ月ぶりに前年同月に比べ増加に転じた(図29)。 また、2014/15年度累計(6月〜翌4月)では2111万3000トン(前年同期比2.6%増)と、過去最高を記録した前年度の生産量をさらに上回るペースで推移している。
一方、ニュージーランド(NZ)最大手乳業メーカーのフォンテラ社が発表している「Global Dairy Update」によると、同社の4月の集乳量(生乳生産量に相当)は、北島では、主要生産地でまとまった降雨があったため、前年同月比22%増となったが、南島では、主要生産地での干ばつにより、同6%減となり、全体では同8%増となった。また、2014/15年度通期の集乳量の見通しについては、前年度より2%程度増加するとしている。 乳製品輸出量、全粉乳が引き続き減少 NZ統計局(Statistics NZ)によると、2015年4月の主な乳製品の輸出量は、 ・脱脂粉乳 3万1521トン(前年同月比 31.7%増) ・全粉乳 9万3759トン(同14.5%減) ・バター 3万6845トン(同 1.1%増) ・チーズ 2万7905トン(同23.6%増) となった(図30)。脱脂粉乳は中国向け(7200トン、前年同月比34.5%増)やマレーシア向け(3300トン、同44.7%増)を中心に、チーズは中国向け(2700トン、同48.5%増)を中心に、ともに増加している。バターは、国別では増減があるものの、全体としてはほぼ前年並みとなっている。一方、全粉乳については、最大の輸出先である中国向け(1万7600トン、同65.7%減)需要減を受け、かなり大きく減少している。
国際価格、おおむね下落傾向で推移 2015年5月19日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)における1トン当たり平均取引価格は以下の通りとなった(図31)。 ・脱脂粉乳:1992米ドル(約25万円(1米ドル=125円)、前年同期比46.6%安、 ・全粉乳:2390米ドル(約30万円、同38.4%安、同0.2%高) ・バター:2911米ドル(約36万円、同20.6%安、同3.1%安) ・チーズ:2745米ドル(約34万円、同33.2%安、同8.9%安) 前回の取引価格からほぼ横ばいとなった全粉乳を除いて、前回より下落しており、特に脱脂粉乳は、1トン当たり2000米ドル(25万円)を割り込んでいる。一方で、現地報道によると、5月前後をピークにヨーロッパでの生乳生産が減少傾向となるため、今後は徐々に、現在の供給過剰状態が緩和するとの見方もある。
大手乳業メーカー、新年度初期乳価を公表 フォンテラ社は、2015/16年度(新年度)の生産者乳価の支払見込みについて、2014/15年度(今年度)の乳固形分1キログラム当たり4.40NZドル(400円、1NZドル=91円)(5月末日時点))を大幅に上回る同5.25NZドル(478円)にすると発表した。同社は、堅調な需要から需給バランスは持ち直すため、長期的には乳製品の国際価格は回復すると見込んでいる。 また、大手乳業メーカーの一つであるウェストランド社は、新年度の生産者乳価の支払見込みについて、今年度の同4.90NZドル(446円)〜同5.10NZドル(464円)を上回る、同5.60NZドル(510円)〜同6.00NZドル(546円)とすると発表した。 同社は乳価引き上げの理由について、乳製品の国際市場は、EUのクオータ制の廃止や、中国の需要回復の遅れといった不安定要素は多いものの、2015年後半における乳製品需要の緩やかな回復、中国の需要増加、高栄養価の高付加価値乳製品販売部門の強化によって、収益が向上する見込みであるとコメントしている。 (調査情報部 竹谷 亮佑)
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