需給動向 海外 |
低迷する国際相場の中で生乳生産は引き続き拡大 |
生乳生産の増加で生産者乳価が下落 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が5月19日に公表した「Milk Production」によると、2015年4月の生乳生産量は、前年同月比1.7%増の807万トンと、2014年1月から16カ月連続して前年同月を上回って推移した(図18)。この増加要因として、搾乳牛頭数の増加(前年同月比0.7%増)に加えて、4月の天候が順調であったことが挙げられる。搾乳牛頭数の増加は、チーズなどの国内需要が堅調なことに加え、安値で安定している飼料価格が生産コストの低下につながっていることが背景にあるとみられる。 一方、同月の1頭当たり乳量については、前年同月比1.0%増であるものの、伸び率は低下してきている(図19)。特にカリフォルニア州では、同1.9%減となるなど、昨年から続く干ばつが影響したものとみられている。 生産者乳価は、増産を反映して今年に入ってからも下落が続いており、4月は100ポンド当たり16.5ドル(1キログラム当たり45円、1米ドル=125円)と、前年同月比34.8%安に落ち込んだ。
チーズ生産は好調を継続 USDA/NASSが6月4日に公表した「Dairy Products」によると、2015年4月の乳製品生産量は、 ・脱脂粉乳 8万2000トン(前年同月比13.1%増) ・全粉乳 1万5000トン(同199.9%増) ・バター 7万5000トン(同 1.7%減) ・チーズ 44万4000トン(同 1.9%増)となった(図20、21)。 チーズについては、国内およびメキシコなど海外からの堅調な需要を背景に、直近の3年間のほとんどの月で前年同月を上回る傾向で推移している。脱脂粉乳も同様に、昨年後半から前年同月を上回って推移している。
メキシコ向けが好調な脱脂粉乳輸出 USDA/ERSおよびFASが公表した貿易データによると、2015年4月の乳製品輸出量は、チーズ(アメリカンタイプおよびその他タイプの合計)は前年同月比6.2%減の3万2000トン、脱脂粉乳は同8.0%増の5万7000トン、バターは同71.3%減の2000トンであった(図22)。 脱脂粉乳については、還元乳やヨーグルトの原料としての利用が多いメキシコ向けが好調であったことから、前月に引き続き前年同月を上回った一方、バターについては、一定の輸出実績を確保したものの、2014年前半まで続いた堅調な国際相場により増加したことへの反動により、前年同月比では大幅に減少する形となった。 脱脂粉乳については、今後、主要輸出先であるメキシコなどでの需要増加が引き続き見込まれることから、輸出増が予想されている。
(調査情報部 平石 康久)
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