需給動向 海外

◆米 国◆

生産量の回復で豚肉需給は緩和傾向


豚肉生産量は増加も枝肉重量増に歯止め

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が5月21日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2015年4月の豚と畜頭数は、前年同月比9.3%増の967万頭とかなり増加した。前年同月のと畜頭数が豚流行性下痢(PED)の影響により減少していたことに加え、最近の飼養頭数が増加基調にあることが要因とみられている。また、と畜頭数の増加に伴い、豚肉生産量も同8.2%増の93万8000トンとなった(図6)。一方、1頭当たり枝肉重量は、同0.9%減の97.1キログラムとなり、2013年7月以降初めて前年同月を下回った。安価な飼料穀物価格を背景に、豚肉生産者は給餌量を増加させてきたが、豚肉需給が緩和傾向にあることから、この動きに一定の歯止めがかかってきたものとみられている。

図6 豚肉生産量の推移
資料:USDA/NASS
  注:枝肉重量ベース。

豚肉輸出量は回復の兆し

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が6月4日に公表した「Monthly US Trade」によると、2015年4月の豚肉輸出量は、前年同月比10.9%増の21万9000トンとなった。輸出先国別に見ると、日本向け(前年同月比32.9%増)や韓国向け(同128.4%増)が、西海岸港湾における労使交渉難航に伴う物流の混乱が緩和されたことなどから、大幅に増加している。

 一方、同月の輸入量は、米ドル高となった為替相場が輸入に有利に働いたことから、同10.5%増の4万トンとなった。

 また、5月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー(注))は、生産量の増加に加え、輸入量も増加するなど需給が緩和傾向にあることから、前年同月比28.0%安の100ポンド当たり82.0ドル(1キログラム当たり226円:1米ドル=125円)(速報値)であった。2015年2月以降、同価格は前年同月を20〜30%以上下回って推移している(図7)。

(注)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。

図7 豚肉卸売価格の推移
資料:USDA/ERS
  注:カットアウトバリュー。
(調査情報部 平石 康久)

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