需給動向 国内 |
平成26年度の牛肉生産量は、35万1554トン(前年度比0.7%減)と、前年度をわずかに下回った(表1)。また、と畜頭数は115万5720頭(同1.8%減)となった(農林水産省「食肉流通統計」)。品種別に見ると、和牛は50万6415頭(同2.9%減)と、2年連続で前年度を下回った。これは高齢化に伴う離農などから、繁殖基盤の縮小が続いているためとみられる。さらに、26年度にと畜月齢を迎える和牛去勢牛が産まれた23年度に、大規模生産者が倒産したことも、と畜頭数の減少に少なからず影響したとみられる。 一方、乳用種は39万3190頭(同1.8%減)と、3年連続で前年度を下回った。離農の進行などの影響が大きく、生乳の増産型計画生産下にあっても出生頭数が伸び悩み、このことがと畜頭数の減少につながった。交雑種は23万5780頭(同0.8%増)と、前年度を上回ったものの、和牛と乳用種の減少を受け、と畜頭数全体では3年連続で減少することとなった。
冷蔵品は米国産から豪州産へシフト 26年度の輸入量は、上半期は先高感から早めの手当てなどが行われたものの、現地相場高や為替の円安基調、在庫過多などにより、下半期は輸入量が抑えられ、全体では51万6200トン(同3.5%減)となった(財務省「貿易統計」)。 (米国産) (豪州産) 冷蔵品については、現地相場高が続いていた米国産から比較的価格の低い豪州産へのシフトが顕著となった。一方、冷凍品については、値上げに伴う客数の減少や大手外食チェーンの業績不振などにより、下半期を中心に前年度を下回った。 26年度の推定出回り量は、輸入品が49万2742トン(同4.3%減)と、前年度をやや下回ったことから84万6150トン(同2.4%減)となった。これは、輸入冷凍品を中心として、国内需要が縮小したことが、背景にあるとみられる。 この結果、26年度末の推定期末在庫量は12万7418トン(同18.9%増)と、前年度を大幅に上回った。約9割を占める輸入品が、出回り量の減少により、積み上がったことが要因である。 枝肉卸売価格は堅調な推移 このような中、東京市場における枝肉卸売価格は、27年1月には約7年ぶりに、去勢和牛A−4が1キログラム当たり2200円を超えるなど、26年度も引き続き堅調であった(図1)。同価格は消費税を含むため、26年4月の消費税率引き上げの影響もあるが、全国的な頭数不足や輸入牛肉の仲間相場の高止まり、和牛の輸出量の増加などによって相場が牽引、または下支えされているとみられ、枝肉価格は概ねリーマンショック前の水準、品種によってはそれ以上の水準まで回復した。
(畜産需給部 山口 真功)
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