需給動向 海外

◆ウルグアイ◆

堅調な牛肉輸出


2014年は前年比2.9%増

 ウルグアイ牛肉協会(INAC)によると、2014年の牛肉輸出量(製品重量ベース、牛肉製品を含む)は、前年比2.9%増の24万8959トンとなった(図7)。

 冷蔵・冷凍別(牛肉製品を除く)では、冷蔵は3万9946トン(前年比0.8%減)、冷凍は20万4821トン(同4.1%増)となった。近年、増加傾向にあった冷蔵が減少した理由として、主要輸出先であったチリ向けの減少が挙げられる。チリは、主要牛肉輸入先国であったパラグアイで2012年に口蹄疫が発生して以降、ウルグアイからの牛肉輸入を増加させていたが、パラグアイの口蹄疫清浄化が進んだことで、2014年は安価なパラグアイ産牛肉に回帰した。一方、冷凍牛肉は、牛肉が高値で推移している米国や、牛群再構築により生産が落ち込んだカナダからの引き合いが大幅に増加したことが主な要因となり、輸出量が増加した。

図7 牛肉輸出量の推移
資料:INAC

 近年、ウルグアイが世界第7位の牛肉輸出国として国際市場での存在感を高めている背景には、米国をはじめとした主要国の輸出量が落ち込んでいることに加え、欧米からの需要が堅調に推移していることがある。同国産の牛肉は、トレーサビリティ制度に加え、アンガス種など肉質が良いとされる肉用牛が、ホルモン剤を投与されずに牧草主体で肥育されることで、より自然な状態に近いというイメージを有していることもあって、近隣国に加え、赤身肉を好む欧米諸国からもテーブルミートとしての強い引き合いがある。なお、同国の疾病ステータスについて国際獣疫事務局(OIE)は、牛海綿状脳症(BSE)では「無視できるリスク」、口蹄疫では「ワクチン接種清浄地域」としている。

2015年も増加の見込み

 米国農務省海外農業調査局(USDA/FAS)によると、2015年のウルグアイの牛肉生産量は、前年比8.7%増の62万トン(枝肉重量ベース)と見込まれている。また、牛肉輸出量は、同13.0%増の43万5000トンと予測されている。

 同国では、近年、牛肉と比べて安価な豚肉や鶏肉の消費が拡大していることから、以前は60キログラム程度であった国民の年間1人当たり牛肉消費量は、今後、同55キログラム程度まで減少する可能性があるとされている(図8)。このため、国内消費が頭打ちで牛肉価格が低迷する中、輸出向けに肉牛が出荷されることが想定されている。

図8 食肉消費量の推移
資料:INAC

 また、政府は、同国最大の輸出産品である牛肉の輸出拡大を目指しているとされるが、穀物生産の拡大などにより放牧地が中長期的に減少し、牛肉生産に影響が生じる可能性も懸念されている。このため、牛肉生産のさらなる拡大を図るために、現在、冬季を中心(3〜10月)に行われている集約的な肉用牛生産(フィードロット)の周年化が必要との意見もINACなどから出ている。なお、同国のフィードロットは、肥育後期のみ穀物を給与する方法をとっており、牛肉生産量の2割強にまで拡大しているとみられる。そして、この大半は、EU向け高級牛肉無税枠に充てられている。

(調査情報部 米元 健太)


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