需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成26年度の鶏肉需給、生産量、
出回り量ともに過去最高を更新


生産量、初の150万トン台

 平成26年度の鶏肉生産量は、4年連続で増加し、過去最高の150万3222トン(前年度比2.3%増)となった(表3・図3)。これは、小売価格上昇による牛・豚肉からの代替需要や消費者の国産志向などを背景に、鶏肉相場は堅調に推移しており、生産者の増産意欲が高まったことによると思われる。12月から1月にかけて発生した高病原性鳥インフルエンザの影響が懸念されたものの、産地での早期通報・迅速な防疫対応の徹底が功を奏したほか、発生地域が近隣に比較的農場の少ない環境であったことから、生産への影響は最小限にとどまった。

表3 鶏肉需給表
資料:農林水産省食肉鶏卵課推計(平成22年2月をもって公表終了)、「食鳥流通統計」、
    財務省「貿易統計」、在庫量は農畜産業振興機構調べ
注1:生産量は骨付き肉ベース。
  2:成鶏肉を含む。
  3:輸入量には鶏肉以外の家きん肉を含まない。

生鮮鶏肉輸入量、大幅に増加

 主に業務・加工向けの生鮮鶏肉の輸入量は、前年度を大幅に上回る49万8654トン(前年度比23.0%増)となった(図3)。現地相場高や為替の円安の進行により、輸入価格(CIF価格)は1キログラム当たり306円と前年度比で13.9%上昇したものの、国産品の在庫水準の低下や牛・豚肉からの代替需要の増加を受けて、輸入量が増加した。

 国別に見ると、全体の8割以上を占めるブラジル産が40万6156トン(同8.0%増)、米国産が2万4746トン(同4.6%増)とそれぞれ増加したとともに、平成16年1月の高病原性鳥インフルエンザ発生に伴う輸入停止措置以降、およそ10年ぶりに輸入停止措置解除(平成25年12月25日付)となったタイ産は、規格の正確性を求める業務筋からの需要増の動きが見られ、6万2889トン(皆増)とブラジルに次ぐ輸入量となった。

 なお、鶏肉供給量の約2割を占める鶏肉調製品(唐揚げ、フライドチキン、焼き鳥など)の輸入量は、生鮮鶏肉輸入量の増加や26年7月下旬に発生した中国産調製品の消費期限切れ問題の影響などにより、40万6308トン(同6.3%減)とかなりの程度減少した。

 国別に見ると、タイ産は20万4132トン(同1.2%減)とわずかな減少にとどまった一方で、中国産は19万9882トン(同10.2%減)とかなりの程度減少した。

図3 鶏肉生産量および輸入量の推移
資料:農林水産省食肉鶏卵課推計(平成22年2月をもって公表終了)、「食鳥流通統計」、
    財務省「貿易統計」
注1:生産量は骨付き肉ベース。
  2:輸入量には鶏肉以外の家きん肉を含まない。

出回り量、10年連続で増加

 26年度の推定出回り量は、経済性志向を反映した好調な消費を受けて10年連続の増加となり、198万4553トン(前年度比3.7%増)と過去最高を更新した。このうち国産品は150万8279トン(同2.1%増)、輸入品は47万6274トン(同9.3%増)であった。

 鶏肉消費量の約4割を占める家計消費(総務省「家計調査報告」)を見ると、26年度の全国1人当たりの鶏肉購入量は5.1キログラム(同2.0%増)、金額は4867円(同9.0%増)と好調に推移しており、牛肉(2.1キログラム:同4.3%減)および豚肉(6.3キログラム:同2.3%減)の購入量が小売価格の上昇などを背景にいずれも減少する中、安価な鶏肉への代替需要が増加していることがうかがえる。

期末在庫量、輸入品は積み増すも国産品は低水準

 26年度末の推定期末在庫量は、11万7368トン(前年度比17.3%増)となった。このうち輸入品は9万9985トン(同28.8%増)、国産品は1万7383トン(同22.5%減)であった。輸入量の増加に伴い、輸入品は積み増した一方で、国産品は、牛・豚肉高による代替需要や消費者の国産志向の高まりなどを背景とした凍結回しの減少により、品薄感が続いている。

(畜産需給部 二又 志保)

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