需給動向 海外 |
◆米 国◆
鳥インフルエンザの影響で輸出量は減少 |
2015年第1四半期の鶏肉生産量はやや増加 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が4月15日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2015年第1四半期の鶏肉生産量は、440万5000トン(速報値)と前年同期を4.6%上回った。月別の動きを見ると、1月は前年同月比4.8%増の151万トンとやや増加したが、2月は処理羽数が同1.8%減となったことから136万1000トン(前年同月比0.3%減)とわずかに減少した。3月は前年より処理日数が1日多いことに加え、処理羽数および平均生体重が堅調に推移したことから同9.1%増の153万4000トンと前年を大きく上回った(図12)。 USDAは、処理羽数および平均生体重が続伸するとして、2015年の鶏肉生産量を前年比3.8%増の1815万5000トンと見込んでいる。
2月の輸出量は前年を大きく下回る USDA/ERSによると、2015年2月の鶏肉輸出量は、前年同月比17.0%減の22万5000トンと前年を大幅に下回った(図13)。この要因としてUSDAは、米国での鳥インフルエンザの発生に伴う中国および韓国の米国産鶏肉輸入停止措置や、昨年8月から継続しているロシアによる禁輸措置の影響を挙げている。 主要輸出先国別に見ると、中国向けが同98.7%減、韓国向けが同85.9%減など多くの国で前年を下回った。一方、最大の輸出先国であるメキシコ向けは同1.7%増の5万1000トン、香港向けは同40.4%増の1万3000トン、カナダ向けは同6.8%増の1万2000トンと増加し、とりわけ台湾やベトナム向けは、それぞれ1万7000トン(同2倍増)、1万トン(同143.7%増)と前年を大幅に上回った。この結果、ロシアや中国、韓国向けの減少分が、一部緩和された。
USDAは、他の主要通貨に対して米ドル高で推移していることが、輸出条件としてマイナス材料であるため、2015年通年の輸出量を303万トン(前年比8.5%減)と見込んでいる。 3月の鶏肉在庫量は前年を大きく上回る 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が4月22日に公表した「Cold Storage」によると、2015年3月の鶏肉在庫量は、前年同月比27.1%増の34万1100トンと大幅に増加した(図14)。主な部位別の在庫量を見ると、主に国内消費に向けられるむね肉は、生産量の増加により同34.5%増の6万9000トン、夏場のスポーツ観戦などに向けて国内需要が増加している手羽は、同23.3%減の1万9400トン、主に輸出向けとなる骨付きもも肉(もも四分体)は、鳥インフルエンザ発生に伴う輸出相手国の輸入停止措置などにより在庫が積み上がり、同77.1%増の8万5600トンとなった。
(調査情報部 野田 圭介)
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