需給動向 国内 |
平成26年度の豚肉需給、生産量はやや減少 |
平成26年度の豚肉生産量は、87万4901トン(前年度比4.6%減)とやや減少し、3年ぶりに前年度を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、表2、図2)。 また、輸入量は、81万6218トン(同9.7%増)と3年ぶりに前年度を上回った(財務省「貿易統計」)。このうち冷蔵品は、29万2018トン(同4.5%減)と5年ぶりに前年度を下回った。近年増加傾向で推移していた冷蔵品は、26年度は主要生産地である米国の現地相場が高騰したことに加え、年度後半には米国西海岸における港湾労使交渉の不調から物流が停滞した影響とみられる。一方で冷凍品は、国内で発生した豚流行性下痢(PED)の影響により秋から年末にかけての供給が不安視されたことから、年度前半にEU産などを中心として輸入が増えた結果、52万4179トン(同19.6%増)と3年ぶりに前年度を上回った。
出回り量は前年度並み、期末在庫はかなりの程度増加 26年度の推定出回り量は、前年度並みの167万4403トンであった。このうち国産品は87万9679トン(同4.2%減)と、生産量の減少に伴いやや前年度を下回ったものの、輸入品は、79万4724トン(同5.3%増)となり、冷凍品輸入量の増加により、前年度をやや上回った。 また、26年度末の推定期末在庫は、17万8594トン(同10.0%増)と3年ぶりに前年度を上回った。冷凍品輸入量の増加に伴い、年度当初から在庫の積み増しが続き、10月には22万トンを超えたが、11月以降は取り崩しが続いた結果、年度末には17万トン台となった。 豚枝肉卸売価格、前年度を大幅に上回る高値に 26年度の豚枝肉卸売価格(東京・大阪市場の省令規格加重平均)は、前年度を大幅に上回る1キログラム当たり593円(同18.8%高)となり、2年連続で前年度を上回った(農林水産省「食肉鶏卵速報」)。同価格は消費税を含むため、26年4月の消費税率引き上げの影響もあるが、税抜価格で比較しても前年同月を下回った月が無く、1年を通して高水準で推移した。 年度当初から、前年夏の猛暑の影響による生産量減少、輸入品の現地相場高騰、PEDの影響による生産量減少、米国西海岸の港湾労使交渉の不調による輸入冷蔵品の調達難などがあり、供給面では国産品、輸入品とも価格の上昇要因が並ぶ一年であった。一方で需要面では、高豚価に伴う小売価格の上昇から、家計における豚肉購入量は減少したものの、推定出回り量全体は前年度並みを維持する結果となった。推定出回り量は、生産量および輸入量が増減しながら推移する中にありながらも24年度以降大きな変動が見られず、豚肉の需要が根強いことが改めて示された。豚肉価格は、この需要の強さに下支えされたものといえる。 (畜産需給部 三田 修司)
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