需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成26年の鶏肉輸入量、14.7%増の47万5000トン


 平成26年12月の鶏肉需給は、生産量14万1842トン(前年同月比1.7%増)、輸入量4万2032トン(同16.9%増)、推定出回り量19万309トン(同4.6%増)となり、推定期末在庫は前月から6435トンを取り崩し、11万8017トン(同16.2%増)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

 26年の累計輸入量は、前年比14.7%増の47万5149トンとなった。このうち、全体の8割以上を占めるブラジル産が39万9313トン(同3.1%増)、米国産が2万5777トン(同14.8%増)、フィリピン産が4598トン(同27.1%増)といずれも前年を上回ったほか、24年12月に輸入解禁となったタイ産は、規格の正確性を求める業務筋からの需要増の動きが見られ、4万4616トンとなった。

 現地相場高や為替の円安の進行により、輸入単価は1キログラム当たり296円と前年比で12.0%上昇したものの、国産品の在庫水準の低下や牛・豚肉との価格優位性による代替需要の増加を受け、輸入量は増加基調が続いている。

英国種鶏初生ひな、2月下旬の輸入解禁に向けて加速

 英国において、H5N8亜型の高病原性鳥インフルエンザが確認されたことを受け、わが国は26年11月17日付けで、同国からの生きた家きんの輸入を停止している。

 農林水産省は、27年1月28日、食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会・第51回家きん疾病小委員会を開き、英国での鳥インフルエンザ発生時のコンパートメント制度(高度なバイオセキュリティにより当局が清浄性を認めた施設からの輸入については、鳥インフルエンザ発生時であっても2国間の合意により受け入れる措置)について議論し、これを了承した。

 ブロイラーの生産構造は、エリートストック→原原種鶏(GGPS)→原種鶏(GPS)→種鶏(PS)→ブロイラー(コマーシャル鶏)という流れになっており、わが国の食鳥産業は、原種鶏の初生ひなを100%に近い割合で輸入して国内で種鶏を育成し、種鶏の不足分を一部輸入することで成り立っている。

 農林水産省の動物検疫速報によると、26年の初生ひな(肉用種・雌)の輸入羽数は、原種鶏が11万8820羽(前年比4.1%減)、種鶏が11万4616羽(同30.3%減)と、いずれも前年を下回った(図5)。

図5 原種鶏・種鶏初生ひな(肉用種・雌)の国別輸入羽数
資料:農林水産省「動物検疫速報」

鳥インフルエンザ発生による英国種の減少が顕著となっており、生産現場からは、原種鶏初生ひな輸入量の約9割を占める英国種について、より育成率の低い米国種に転換せざるを得ない事態が懸念されていた。

 しかしながら、今回の第51回家きん疾病小委員会による了承を受け、家畜衛生部会への報告、同部会から農林水産省へ答申を行った上で、日英間での家畜衛生条件の合意手続きを経て、同国での新たな発生がなければ、発生から3カ月後の2月下旬に清浄性が認められ、輸入解禁となる見込みとなっている。

 英国での鳥インフルエンザ発生時でも、コンパートメント施設からの種鶏初生ひなの輸入が認められることで、今後、同病の新たな発生があったとしても早期の輸入再開が確保されることになり、種鶏輸入の安定化による鶏肉の安定供給が期待される。

(畜産需給部 藤戸 志保)

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