需給動向 海外 |
2014年の生乳生産量は前年を上回る |
乳用牛飼養頭数は3年ぶりに増加 米国農務省全国統計局(USDA/NASS)が1月30日に公表した「Cattle」によると、2015年1月1日現在の乳用牛の飼養頭数は、前年比1.0%増の930万7000頭と増加に転じ、2009年以来7年ぶりに930万頭を上回った(図12)。今後、出産を経て生乳を生産することとなる乳用繁殖後継牛の頭数は、同1.5%増の462万頭とわずかに増加した。また、USDA/NASSが1月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2014年の乳用牛のと畜頭数は、前年比9.9%減の282万頭とかなりの程度減少しており、生産者乳価が好調な中にあって、生産者に乳用牛を保留し、生乳生産量を増加させたいとの意向が働いたものとみられる。
2015年の生乳生産量は増産見込み USDA/NASSが1月22日に公表した「Milk Production」によると、生乳生産量は、2014年1月から前年を上回って推移しており、同年12月も前年同月比3.1%増の785万5000トン、2014年通年では、前年比2.4%増の9343万7000トンとなった(図13)。この増加要因として、年間を通して生産者乳価が堅調に推移したことに加え、飼料価格の下落により生産コストが低下していたことも増産を後押ししたとみられる。また、1頭当たり年間乳量も前年を上回り、同2.0%増の10トンとなった。
USDAは、今後も乳用牛の飼養頭数および1頭当たりの乳量は増加傾向で推移すると見ており、2015年の生乳生産量は前年比2.8%増の9602万5000トンとしている。 生産者乳価は今後、下落見通し USDA/NASSが1月30日に公表した「Agricultural Prices」によると、2014年12月の生乳の生産者販売価格は、前年同月比7.3%安の100ポンド当たり20.4ドルとなった(2428円:1米ドル=119円、図14)。USDAは、世界的な生乳生産量の増加により需給が緩和するとみており、2015年第1四半期を同18.85〜19.25ドル(1トン当たり1万174円〜1万391円)、第2四半期を同16.55〜17.25ドル(同8933円〜9311円)と下落を予想している。また、関係者の間では牛肉価格が高値で推移しており、乳価が下回る中で、経産牛の更新が進む可能性もあるとされている。
(調査情報部 渡邊 陽介)
|
元のページに戻る