需給動向 海外

◆ブラジル◆

2014年1〜9月の豚肉輸出量、大幅減


2014年1〜9月のと畜頭数、生産量ともに前年同期比微増

 ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2014年1〜9月(第1〜3四半期)の豚と畜頭数は前年同期比2.1%増の2761万5000頭、豚肉生産量は同1.2%増の239万175トンとなった(図8、9)。また、同期間の国内の豚肉消費量(注)は、同2.8%増の204万7845トンとみられている。同国では、2013年末から2014年2月にかけて、高温乾燥の影響で多くの牧草地が生育不良に見舞われ、繁殖雌牛を中心に一部で牛の淘汰が進んだことで肥育もと牛の需給がひっ迫し、牛肉価格が高値で推移した。このため、安価な豚肉や鶏肉への需要が拡大し、豚と畜頭数および豚肉生産量が前年より増加したとみられている。

(注) 在庫量が不明であるため、国内消費量=生産量+輸入量−輸出量で算出

図8 四半期別豚と畜頭数の推移
資料:IBGE
図9 四半期別豚肉生産量の推移
資料:IBGE
 注:枝肉ベース

ウクライナ向けが9割減

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2014年1〜9月の豚肉輸出量(調製品を含む)は、前年同期比17.8%減の35万2764トンとなった(表7)。

 国別に見ると、ウクライナ向けは、同国の政情不安により自国通貨グリブナの価値が大幅に低下したことから、同93.1%減の4418トンと前年の10分の1以下となった。一方、最大の輸出先であるロシア向けは、同11.4%増の12万9458トンと増加した。ロシアは、2014年1月下旬にEU域内のポーランドやリトアニアでアフリカ豚コレラ(ASF)が発生したことを受けて、EU産豚肉の輸入を禁止しており、調達先を確保すべく、ブラジルの新たな食肉施設を輸出認証施設に追加していた。加えて、ロシアは、同年8月から欧米諸国に対して禁輸措置を講じており、これも同国向け輸出を後押しした。ロシアに次ぐ輸出先である香港向けは、中国国内での豚肉生産が好調であったことから外国産の引き合いが相対的に低下し、同20.5%減の7万8623トンと大幅に減少した。

 なお、2013年5月に輸出が解禁(口蹄疫ワクチン非接種清浄地域のサンタカタリーナ州産に限る)された日本向けは、輸出量は少ないながらも国際的な豚肉需給のひっ迫を受けて引き合いが強まったことで、同55倍の2578トンまで増加した。

表7 国別豚肉輸出内訳
資料:SECEX
  注:HSコード0203、020630、020649、02090011、021019、05040013で集計

2015年も増産が続く見込み

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2014年のブラジルの豚肉生産量は、前年比1.1%増の331万5000トンと見込まれている。増加要因についてUSDAは、ブラジルの2013/14穀物年度(10月〜翌年9月)の大豆の記録的な豊作を受けて飼料コストが下がる一方、豚肉価格が堅調に推移したことで収益性が向上し、生産者の増産意欲が高まっていることを挙げている。USDAは、この傾向が今後も続くと見ており、2015年のブラジルの豚肉生産量は、同6.1%増の348万トンと予測している。

(調査情報部 米元 健太)

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