需給動向 海外

◆米 国◆

豚飼養頭数、1年9カ月ぶりに増加


離乳子豚頭数が増加

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2014年12月23日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、2014年12月1日現在の豚総飼養頭数は、前年比2.0%増の6605万頭となった(表5)。この増加要因としてUSDAは、豚流行性下痢(PED)の発生が抑制され、子豚の死亡頭数が減少していることを挙げている。内訳を見ると、繁殖豚が同3.7%増の597万頭、肥育豚が同1.8%増の6008万頭といずれも増加しており、肥育豚頭数は2013年3月1日現在以来1年9カ月ぶりに前年を上回った。

表5 豚飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS「Quarterly Hogs and Pigs」
  注:計数は、四捨五入のため、合計において一致しない場合がある。

 肥育豚頭数を体重別に見ると、50ポンド以下が3.5%増、50〜119ポンドが3.4%増となり、比較的軽量なものの増加が目立っている。これは、PEDの発生減少により離乳子豚頭数が増加していることが要因として挙げられる。また、2014年9〜11月の分娩母豚頭数は、前年同期比3.3%増の287万1000頭と3期連続で前年を上回って推移しており、これも離乳子豚頭数の増加に寄与したものとみられる。1腹当たりの産子数(2014年9〜11月)は、離乳子豚頭数の増加により、同0.7%増の10.23頭となった。

 州別の飼養頭数を見ると、最も飼養頭数の多いアイオワ州で前年比3.5%増の2090万頭となったほか、ノースカロライナ州(同1.2%増)やミネソタ州(同0.6%増)、イリノイ州(同1.1%増)など、主要州は軒並み増加した(表6)。

表6 州別飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS「Quarterly Hogs and Pigs」
  注:各年12月1日現在のもの

2015年の豚肉生産量は増加見込み

 USDA/NASSが1月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2014年12月のと畜頭数は、前年同月を1.2%上回る985万頭となり、同月の豚肉生産量も同2.4%増の96万トンと増加した(図6)。しかし、2014年通年では、1頭当たり枝肉重量は前年比3.2%増となったものの、PEDによる肥育豚頭数の減少により、と畜頭数が減少(同4.6%減)したことから、生産量は同1.5%減の1036万トンとなった。2015年の生産量は、繁殖豚および離乳子豚頭数の増加、PEDの抑制傾向に伴う生産者の増産意欲などにより、同4.6%増の1084万トンと、3年ぶりの増加が見込まれている。

図6 豚肉生産量の推移
資料:USDA/NASS「Livestock Slaughter」

価格競争力の低下により、輸出量は減少

 2014年1月から11月の豚肉輸出量は、前年同期比1.7%減の202万トンとなった(図7)。この減少要因についてUSDAは、米国産豚肉の価格が高値で推移したことや、米ドル高の進展により他国産豚肉に対して価格競争力が低下したことを挙げている。

 一方、同期間の輸入量は、国内の豚肉価格が高値で推移したことにより、価格が安い輸入豚肉の需要が高まったことから、同12.5%増の41万トンとなった。国別に見ると、

・カナダ:31万トン(同7.1%増)
・デンマーク:3万トン(同20.7%増)
・ポーランド:3万トン(同87.9%増)
・メキシコ:8000トン(同34.9%増)

と、主要輸入先国からの輸入量がいずれも増加している。

図7 豚肉輸出量の推移
資料:USDA/ERS
(調査情報部 渡邊 陽介)

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