需給動向 海外 |
牛肉輸出量、過去最高を記録
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肉牛取引価格、依然高値傾向が続く 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、家畜市場の肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2015年4月1日時点で1キログラム当たり426豪セント(400円:1豪ドル=94円)となった(図4)。過去最高を記録した同年2月3日の同451豪セントからは下落しているものの、前年同期比25.6%高と、依然として高値傾向が続いている。取引価格上昇の主な要因としてMLAは、主要産地であるクイーンズランド(QLD)州で3月下旬に降雨があったことから、牧草肥育生産者からの需要が高まっていることを挙げている。また、穀物肥育生産者からの堅調なもと牛需要も、取引価格上昇の下支え要因と見ている。
と畜頭数は前年を上回って推移 と畜頭数は、2015年1月以降おおむね前年同様の水準で推移してきたが、3月14日から20日までの1週間を見ると、17万6862頭(前年同期比4.7%増)となった(図5)。これは、過去最高を記録した前年の記録(11月22〜26日:17万8600頭)に迫る数値となっている。3月のQLD州の降雨量はおおむね平年並みとなっているものの、NSW州やVIC州の降雨量が平年を下回っており、両州からの出荷増が影響しているとみられる。
牛肉輸出量は過去最高を記録 豪州農漁林業省(DAFF)が2015年4月2日に公表した「Red Meat Export Statistics」によると、2015年3月の牛肉輸出量は12万3464トン(前年同月比16.2%増)と、過去最高を記録した(図6)。主要輸出先を見ると、
となった。中国を除く主要輸出先3カ国向けの輸出量は増加しており、特に米国向けが、同国国内の牛肉供給量の減少に伴い、豪州の輸出をけん引している。日本向けの増加要因についてDAFFは、米国西海岸港湾の労使交渉難航に伴う物流の混乱や、為替相場が米ドルに対して豪ドル安となっていることから、日本市場で豪州産の価格競争力が増してきたことを挙げている。 一方、中国向けは2015年の累計輸出量で2万7226トン(前年同期比27.1%減)にとどまっており減少傾向が顕著となっている。これは、豪州産輸出価格の上昇に伴い、より安価なウルグアイ産やニュージーランド産にシフトしていることが要因とみられる。 また、冷蔵・冷凍別にみると、冷蔵が3万1163トン(前年同月比25.2%増)、冷凍が9万2300トン(同13.4%増)と、ともに増加している。特に増加が著しい冷蔵を輸出先別に見ると、日本向けの1万3276トン(同23.2%増)に次いで、米国向けが8984トン(同79.5%増)となっている。米国向けは従来、加工用の冷凍牛肉が大半を占めていたが、同国国内の牛肉不足を背景に豪州産冷蔵牛肉への引き合いが強まっている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)
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