需給動向 国内 |
平成27年2月の牛肉需給は、生産量は2万6151トン(前年同月比0.4%増)と、全国的な出荷頭数の減少が続く中、3カ月ぶりに前年同月をわずかに上回った。輸入量は米国西海岸港湾における労使交渉難航に伴う物流の混乱があったものの、3万5393トン(同1.1%減)とわずかな減少にとどまった。推定出回り量は、「ファストフード洋風」の業績悪化などが輸入品の出回り量の減少につながり、6万7238トン(同2.8%減)と前年同月をわずかに下回った。推定期末在庫は前月より5805トン取り崩し、12万6177トン(同13.3%増)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 一部の部位で上昇基調から反転 輸入品仲間相場は、24年秋以降、多くの部位が上昇基調で推移していた。これは、為替の円安基調に加え、他国との競合や米国国内の生産量減少などに伴う現地相場高が主な要因である。しかしながら、ここへ来て、ショートプレート(米国産・冷凍)やナーベルエンドブリスケット(豪州産・冷凍)、カウミート(豪州産・冷凍)において、低下傾向が見られ始めている(図1、2)。
日豪EPAの影響は、現時点で見られず 牛丼に使われることの多いショートプレートの価格は、昨年10月をピークに低下し、3月には1キログラム当たり816円(前年同月比22.9%高)となった。この要因として、米国国内で牛肉価格高騰を受けて豚肉や鶏肉へ需要が移っていることや、他国からの引き合いが弱くなったことなどが挙げられる。また、代替性を有するナーベルエンドブリスケットの価格は、ショートプレートに引きずられて低下している。ナーベルエンドブリスケットは、価格優位性により実需者からの引き合いが強くなっていたが、ショートプレートの価格が落ち着いてきたことから、再び消費者の評価の高いショートプレートへ回帰するとの声も多い。 一方、ハンバーガーなどの加工用として使われることの多いカウミートは、昨年10月をピークに低下し、3月は同741円(同23.0%高)となった。これは、中国の使用期限切れ鶏肉混入問題に追い打ちをかけられた「ファストフード洋風」の業績悪化などを受け、需給が緩んだ影響が大きいとみられる。 ナーベルエンドブリスケットやカウミートの価格は低下しているものの、その要因はショートプレートの価格低下や一部の外食産業の業績悪化などによるものであり、日豪EPAの影響は小さいと思われる。4月から再び豪州産牛肉の関税率が引き下げられたが、現時点では牛肉需給に大きな変化が生じる可能性は低いとみられる。 (畜産需給部 山口 真功)
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