需給動向 海外 |
◆米 国◆
牛肉生産量は依然、前年を下回って推移 |
フィードロット導入頭数は減少傾向 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月20日に公表した「Cattle on Feed」によると、2015年3月1日現在のフィードロット飼養頭数は、前年同月並みの1065万8000頭となった。また、2月中のフィードロット導入頭数は、前年同月比8.1%減の152万3000頭となり、2014年3月以降概ね前年を下回って推移している(図1)。この要因として、2011年、2012年に発生した干ばつにより悪化した牧草地の状態が改善に向かっていることで、雌牛を中心に保留が進んだことが挙げられる。主要生産州別に見ると、カンザス州で同6.0%増の35万5000頭となった一方、テキサス州(同30.5%減、28万5000頭)、ネブラスカ州(同9.3%減、39万頭)で減少しており、これらの州で特に牛群再構築の動きが高まっているものとみられる。
と畜頭数の減少を平均枝肉重量の増加が一部相殺 USDA/NASSが3月19日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2015年2月のと畜頭数は、前年同月比3.2%減の213万4300頭となった。一方、平均枝肉重量は、飼料コストが安値で推移していることもあり肥育期間が延びていることから、同2.2%増の371キログラムとなった。この結果、平均枝肉重量の増加が下支えしたものの、同月の牛肉生産量は同1.1%減の80万2000トンとなり、2014年1月以降前年を下回って推移している(図2)。
輸出量に回復の兆し 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が4月5日に公表した「Monthly US Trade」によると、2015年2月の牛肉輸出量は、前年同月比2.6%減の8万トンとなった(図3)。主な要因として、米国の牛肉価格が高値であること、主要通貨に対する為替相場が米ドル高であることに加え、西海岸港湾における労使交渉難航に伴う物流の混乱などが挙げられる。2月20日に労使交渉が暫定合意したことを受け、1月の水準(同19.3%減)よりも回復している。主要輸出先国別に見ると、日本(同9.3%増)、韓国(同19.0%増)向けが増加した一方、メキシコ(同16.4%減)、カナダ(同17.8%減)、香港(同18.2%減)向けは減少した。 一方、輸入量は、同48.8%増の11万5400トンとなった。国内需給のひっ迫や米ドル高などにより、主要輸入先国である豪州(同114.9%増)、カナダ(同10.0%増)、ニュージーランド(同16.9%増)、メキシコ(同44.0%増)からの輸入量が軒並み増加している。
(調査情報部 渡邊 陽介)
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