需給動向 海外 |
2014年の乳製品輸出量、5.6%減
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天候不良で生乳生産減 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2014年のアルゼンチンの生乳生産量は、前年比1.0%減の1140万トンとなった(図29)。同年は、例年に比べて雨が多く、牧草の生育が悪かったことに加え、秋から冬にかけて、いくつかの酪農地帯が洪水で冠水し、一部の乳牛がへい死するなど、生乳生産に影響が及んだ。 なお、同国の生乳取引価格は、他の主要乳製品輸出国と比べて安いとされており、2014年はトウモロコシなど飼料原料価格が安値で推移し生産コストが低下したことから、前年比2.1%安の1リットル当たり0.37米ドル(45円:1米ドル=121円)前後で推移した。 USDAによると、アルゼンチンの2015年の生乳生産見通しは、天候の回復を要因に同3.0%増の1175万トンと予測されている。同国の場合、生乳生産の約25%が輸出用途に仕向けられており、主要輸出品目である全粉乳の国際価格が低迷する中で、今後、収益性に優るチーズの生産および輸出の比重が高まると見込まれている。
輸出:粉乳類は減少の一方、チーズは増加 アルゼンチン国家動植物衛生機構(SENASA)によると、2014年の乳製品輸出量は、前年比5.6%減の33万1166トンとなった(表9)。この要因として、同年の生乳生産量の落ち込みにより、相対的に輸出仕向け量の減少につながったものと考えられる。
2014年の乳製品輸出量を品目別に見ると、輸出量の約4割を占める全粉乳は、主要輸出先であるアルジェリアやブラジルなどが、アルゼンチン産に比べて価格優位性が出てきたEU産に切り替えたため、前年比21.2%減の14万3715トンとなった(表10)。
全粉乳に次ぐ輸出量となったチーズは、同16.3%増の5万4781トンとなった。2014年は国際的に全粉乳価格が下落する中、欧米などからの農畜産物の輸入を禁止しているロシアからのチーズの引き合いが強まったことが、チーズ輸出の拡大要因となった。 製品別に見ると、2013年にはチーズ輸出量の45%を占めていたモツァレラが、前年比1.7%減の2万634トンとなったが、ハードタイプ・セミハードタイプのゴーダ、チェダーが、それぞれ同54.9%増、109.9%増と大幅に増加した(表11)。
国別輸出量でみると、ロシアからの引き合いが強く、同国のニーズに合わせたチーズ生産・輸出へと変化していることが伺える(表12)。
(調査情報部 米元 健太)
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