需給動向 海外

◆豪州◆

生乳生産、増加傾向で推移


2月の生乳生産、前年比かなりの程度増加

 デーリー・オーストラリア(DA)によると、2015年2月の生乳生産量は66万5000キロリットル(68万5000トン相当、前年同月比6.4%増)と2カ月連続で前年同月を上回った(図24)。2014年12月から翌1月にかけて、夏季の乾燥気候の影響から一時的に鈍化したものの、2014/15年度(7月〜翌6月)を通じて気象条件はおおむね良好であり、再び増加傾向に転じている。

 州・地域別に見ると、ここ1年増加の著しいタスマニア州に加え、ニューサウスウェールズ州の生産量も、前年同月比10%を超す増加幅となっている。さらに、乾燥気候の影響から局地的に減少傾向であったビクトリア(VIC)州西部の生産量も増加に転じており、今後も、全国的に増加傾向での推移が見込まれている。

図24 生乳生産量の推移
資料:DA
  注:年度は7月〜翌6月。

乳製品輸出は、脱脂粉乳、チーズが増加

 DAによると、2015年2月の主な乳製品の輸出量は、

・脱脂粉乳 2万 1644トン(前年同月比27.6%増)
・全粉乳 7342トン(同13.4%減)
・バター 3193トン(同45.8%減)
・チーズ 1万 2878トン(同4.0%増)

となった(図25)。東南アジアを主要な輸出先とする脱脂粉乳の増加傾向と、中国を主要な輸出先とする全粉乳の減少傾向がここ1年ほど継続している。また、禁輸措置を発動しているロシアを主要な輸出先とするバターは、大幅に減少している一方、日本を主要な輸出先とするチーズは、月ごとの変動が比較的少なく安定的に推移している。

図25 乳製品輸出量の推移
資料:DA

大手乳業メーカー、乳価の引き上げを発表

 大手乳業メーカー、ワーナンブール・チーズ&バター社(WCB)は2015年3月、2014/15年度(7月〜翌6月)の生産者乳価について、年度当初に公表した乳固形分1キログラム当たり5.86豪ドル(551円:1豪ドル=94円)から6.00豪ドル(564円)に引き上げると発表した。これは、今年度、大手乳業メーカーの中で初めての引き上げとなる。

 WCBは、乳価の引き上げについて、「依然として市場環境は厳しいものの、経営に影響を及ぼすいくつかの要素は、比較的堅調に推移している。」とコメントしている。具体的な要因の説明は行っていないが、現地関係者によれば、WCBは、地盤とするVIC州西部の生乳生産量が年度を通じて減少傾向にあることから、乳価引き上げにより集乳量の維持・増加を図っているものとみられている。

最大手乳業メーカー、楽観的な見通しを発表

 豪州最大手乳業メーカー、マレーゴールバン(MG)は2015年3月、2014/15年度(7月〜翌6月)の半期レポートを公表した。

 これによると、豪州の生乳生産環境については、VIC州西部など一部地域を除いて気象条件は良く、また、かんがいに必要な水資源も十分に確保されているとしている。さらに、競合国であるニュージーランドの生乳生産の鈍化や為替相場における豪ドル安傾向も、豪州の酪農乳業にとってプラスに働くとしている。

 一方、国際的な乳製品需要動向については、需要が弱含んでいるとはいえ大きな市場である中国の他に、東南アジア、中東、アフリカの需要も強く、今後も成長が期待できるとしている。また、日本との経済連携協定(EPA)や、韓国、中国との自由貿易協定(FTA)に加え、現在交渉中のインドやインドネシアとのFTA交渉も、その動向次第では、輸出機会の拡大につながるとしている。

(調査情報部 根本 悠)

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