需給動向 海外 |
生乳生産、減少に転じる
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ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2015年1〜2月の生乳生産量は434万2000トン(前年同期比2.3%減)と、それまでの増加傾向から減少に転じている(図26)。これは、主要酪農地域の多くが乾燥気候となっており、とりわけ南島のかんがい利用地域での、かんがい用水の利用制限が影響している。
ただし、2014/15年度(6月〜翌5月:生乳生産年度)の2月までの生乳生産量の累計は、1796万8000トン(同2.5%増)と、年度前半の増加傾向を反映して、前年同期をわずかに上回っている。 全粉乳輸出、減少傾向が継続 Statistics NZによると、2015年1〜2月の主な乳製品の輸出量は、
となった(図27)。脱脂粉乳は、主要市場である東南アジア向けを中心に増加傾向となっている。一方、全粉乳は最大の輸出先である中国向けが、依然として中国国内の在庫過多により、前年同期に比べ大幅に減少している影響が表れており、バターも同様に中国向けを中心に減少している。また、他の品目に比べ中国への依存度が少ないチーズは、日本、韓国、豪州という安定的な輸出先があることから、前年を上回っている。 なお、2014/15年度(7月〜翌6月:会計年度)の2月までの累計で見ても、脱脂粉乳およびチーズは前年同期を上回っている一方、全粉乳およびバターは前年同期を下回っている。
国際価格、再び下落傾向 2015年4月1日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:ニュージーランド(NZ)最大手乳業メーカー、フォンテラ主催の電子オークション、月2回開催)における1トン当たり平均取引価格は、
となった(図28)。取引価格は2015年に入り上昇傾向となっていたものの、3月以降再び下落に転じている。これは、NZ全体に乾燥気候が広がっているものの、当初予想されたほど生乳生産に深刻な影響が見られないことに加え、フォンテラがGDTへの上場数量を増加させたことなどが反映しているとみられている。
最大手乳業メーカー、生乳生産見込みを上方修正 NZ全体の集乳量の約9割を占める最大手乳業メーカー、フォンテラは2015年3月、2014/15年度(8月〜翌7月)の暫定(半期)レポートを公表した。 これによると、春季(9〜11月頃)は、温暖湿潤な気候が牧草の生育を促し、生乳生産は増加したものの、夏季(12月〜翌1月頃)に入ると乾燥気候の影響から伸び悩み、上半期(8月〜翌1月)を通じた集乳量(生乳生産量に相当)は、前年同期比3%増となったとしている。 今後については、下半期を通じて生乳生産の回復は難しいとしながらも、年度全体の集乳量見込みは、これまでの前年度比3.3%減から同2%減に上方修正しており、乾燥気候が生乳生産に与えた影響が当初の予想より小さかったものとみられている。 また、輸出先市場については、フォンテラは中国を最大の市場として重視しているものの、世界的に需要のトレンドは中国から東南アジア、中東、アフリカに移っているとしており、今後はより広範に新興国市場への輸出を展開していくものと思われる。 (調査情報部 根本 悠)
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