需給動向 海外 |
生乳生産量が14カ月連続で前年同月を上回る |
生乳生産量は引き続き増加傾向 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月19日に公表した「Milk Production」によると、2015年2月の生乳生産量は、前年同月比1.7%増の733万トンと、2014年1月から14カ月連続して前年同月を上回って推移した(図17)。この増加要因として、昨年秋ごろまで生産者乳価が堅調に推移したことに加え、飼料価格の下落による生産コストの低下が、搾乳牛頭数の増加に繋がり、増産を後押ししてきたことが挙げられる(図18)。一方、同年2月の1頭当たり乳量は、同0.5%とわずかに増加しているが、伸び率はこの9カ月で最も小さい幅となった。これは、昨年9月以降の生産者乳価の下落や、全米第1位の生乳生産量であるカリフォルニア州での長引く干ばつが影響したものとみられる。 乳製品国際相場に動きを合わせるように、生産者乳価は今年に入ってからも下落が続いており、2015年2月の同価格は100ポンド当たり16.8ドル(1キログラム当たり44.8円:1米ドル=121円)と、前年同月比32.5%安に落ち込んだ。
チーズの生産量は引き続き増加傾向 USDA/NASSが4月2日に公表した「Dairy Products」によると、2015年2月の乳製品生産量は、チーズが前年同月比3.9%増の40万1000トン、脱脂粉乳(NDM)が同5.4%増の6万7000トン、全粉乳が同20.7%増の5000トンとなった。 チーズについては、国内およびメキシコなど海外からの堅調な需要を背景に、この3年間のうちほとんどの月で前年同月を上回る傾向で推移している(図19)。 一方、同年2月のバター生産量は、同4.8%減の7万1000トンにとどまった(図20)。チーズ生産を優先する傾向にあることに加え、同年1月よりバターの在庫量が前年同月を上回り始めたことが影響した可能性がある。
乳製品の輸出量は前年比減 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)および海外農業局(FAS)が公表した貿易データによると、2015年2月の乳製品輸出量は、チーズ(アメリカンタイプおよびその他タイプの合計)は前年同月比5.4%減の3万トン、脱脂粉乳(NDM/SMP)は同1.5%減の3万6000トン、バターは同71.8%減の2000トンであった(図21)。 バターについては、2013年から2014年前半まで国際相場が好調に推移し、米国からのバターの輸出も例年より多かったことの反動により、対前年比では大きく減少している。 チーズについてはこの2〜3年、特に増加傾向で推移しており、月2万トンから3万トン程度の輸出が経常的に行われている。 輸出を取り巻く環境としては、(1)ロシアの禁輸措置や中国の全粉乳需要の減退による国際市場での乳製品需給の緩和に起因した競争の激化、(2)西海岸港湾における労使交渉難航に伴う物流の混乱、(3)他の通貨に対して米ドル高で推移した為替相場、といった悪条件が揃っている。一方、米国国内価格の低落という材料もあり、今後の輸出動向が注目されている。
(調査情報部 平石 康久)
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