需給動向 海外

◆米 国◆

PEDの発生抑制により
冬季の離乳子豚頭数は前年を上回る


豚飼養頭数は、繁殖豚、肥育豚ともに増加

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月27日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、2015年3月1日現在の豚飼養頭数は6593万4000頭となり、豚流行性下痢(PED)の影響により頭数が減少した前年を7.2%上回った(表1)。その内訳を見ると、繁殖豚が前年比2.2%増の598万2000頭、肥育豚が同7.7%増の5995万3000頭となっている。分娩母豚頭数は、生産者の増頭意欲の高まりにより、282万9000頭と前年を2.4%上回った。また、2014年12月〜2015年2月の離乳子豚頭数は、前年同期比9.2%増の2875万8000頭となっており、防疫体制の強化などによりPEDの発生が抑制されたとみられている。

表1 豚飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS
  注:計数は、四捨五入のため、合計において一致しない場合がある。

豚肉生産量、2月としては過去最高を記録

 USDA/NASSが3月19日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2015年2月の豚と畜頭数は、飼養頭数の増加から前年同月比4.7%増の907万7000頭となった。また、同月の1頭当たり枝肉重量は同0.9%増の97.5キログラムとなり、2013年7月以降前年同月を上回って推移している。この結果、豚肉生産量は同5.5%増の88万2000トンと、2月単月としては過去最高を記録した(図10)。

図10 豚肉生産量の推移
資料:USDA/NASS
  注:枝肉重量ベース

輸出量の減少、輸入量の増加により需給緩和

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が4月3日に公表した「Monthly US Trade」によると、2015年2月の豚肉輸出量は、前年同月比10.1%減の17万1000トンとなった。減少の要因として、主要通貨に対して為替相場が米ドル高で推移したことや、西海岸港湾の労使交渉難航に伴う物流の混乱が挙げられる。輸出先国別に見ると、日本向け(同16.0%減)や中国向け(同89.9%減)などアジア向けが減少した。中国向けの減少幅が大きい要因として、2014年8月に中国が飼料添加物(ラクトパミン)を含む豚肉の輸入を禁止したことが挙げられる。一方、同月の輸入量は、米ドル高が輸入に有利に働いたことから、同32.2%増の3万8000トンとなった。

 また、3月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー)は、生産量の増加に加え、輸入量の増加や輸出量の減少など需給が緩和傾向にあることから、同44.1%安の100ポンド当たり68.5ドル(1キログラム当たり183円:1米ドル=121円:速報値)と大幅に下落し、2015年1月以降、前年同月を下回った(図11)。

注:各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。

図11 豚肉卸売価格の推移
資料:USDA/ERS
  注:カットアウトバリュー
(調査情報部 渡邊 陽介)

元のページに戻る