需給動向 国内

◆牛 肉◆

枝肉卸売価格、供給不足などにより相場高が続く


 平成27年8月の牛肉需給は、生産量は前年同月をやや下回る2万5413トン(前年同月比4.7%減)となり、5カ月連続で前年同月を下回った。品種別に見ると、和牛が1万1178トン(同3.9%減)、乳用種が8277トン(同2.8%減)、交雑種が5609トン(同8.9%減)とすべての品種で前年同月を下回った。輸入量は、冷蔵品が1万6716トン(同13.8%減)、冷凍品が1万8946トン(同51.0%減)といずれも前年を下回った結果、全体では前年同月を大幅に下回る3万5750トン(同38.5%減)となった。推定出回り量は前年同月を大幅に下回る6万3636トン(同18.3%減)、推定期末在庫は前月から2575トン取り崩し、14万1883トン(同15.9%増)と前年同月をかなり大きく上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

 このような状況の中、東京市場における9月の枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A−4が2354円(同17.2%高)、交雑種去勢B−3が1668円(同29.7%高)、乳用種去勢B−2が1115円(同39.4%高)と続伸した(図1)。高値が続いている要因として、出荷頭数および輸入量の減少などによる供給量の減少や、訪日観光客の増加によるインバウンド需要の増大などが挙げられる。

牛肉消費量、外食などは堅調も家計消費量の減少が続く

 需要面を見ると、牛肉消費の約6割を占める外食などの需要(家計消費、加工仕向を除く)は、比較的堅調に推移している。(一社)日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」によると、平成27年8月の外食全体の売上高は前年同月比3.2%高と、2カ月連続で前年同月を上回った。特に、焼肉店などの好調が、全体の売上高上昇につながっているものとみられる。

 一方で、量販店などにおける販売量は減少傾向が続いている。総務省の「家計調査報告」によると、8月の1人当たりの牛肉の購入数量は175グラム(前年同月比5.1%減)と、3カ月連続で前年同月を下回った。卸売価格の上昇を受けた小売価格の上昇などを背景に、需要はより安価な豚肉などへシフトしていることがうかがえる。これ以上の相場高が続けば、牛肉需要全体の減退につながりかねないだけに、年末の需要期に向けて、今後の枝肉卸売価格の動向が注目される。

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉、大筋合意に至る

 平成27年10月5日、TPP交渉が大筋合意に至った。牛肉については、関税撤廃を回避し、セーフガード付きで関税を削減することになった。現行38.5%の関税は協定発効時に27.5%まで引き下げられ、その後10年目に20%、16年目以降に9%となる見込みである。また、輸入急増時に発動するセーフガードは、初年度は近年の輸入実績から10%増で発動され、発動数量は初年度は年間59万トン、10年目に69.6万トン、16年目は73.8万トンとなる見込みである。

 一方、米国向け日本産牛肉については、現在200トンを上限とする低関税枠が設けられており(枠内関税は1キログラム当たり4.4セント、200トンを超えると26.4%の関税が課される仕組み)、15年目に関税が撤廃されるまでの間、現行の米国向け輸出実績の20〜40倍に相当する数量(当初3000トン→最終年6250トン)の無税枠が設けられることになった。

(畜産需給部 二又 志保)

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