需給動向 国内

◆鶏 肉◆

9月の鶏肉輸入量は前年同月比23.2%の増加


 平成27年8月の鶏肉需給は、生産量は11万8386トン(前年同月比0.4%増)と前年同月をわずかに上回り、輸入量はブラジル産鶏肉の増加に伴い4万7135トン(同23.2%増)と前年同月を大幅に上回った。推定出回り量は16万380トン(同2.6%増)と、前年同月をわずかに上回り、推定期末在庫は前月から5141トンを積み増して、12万9096トン(同9.7%増)と、3カ月連続で12万トンを超える水準となっている。

 推定期末在庫のうち、輸入品は輸入量の増加により11万563トン(同12.2%増)、需要の増加に伴い年末に向けた凍結回しが減少していることから、国産品は1万8533トン(同3.1%減)と在庫水準の低下が顕著となっている(農林水産省「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

鶏肉の卸売価格、依然として高水準続く

 このような状況の中、9月の鶏肉卸売価格(速報値)は、もも肉が1キログラム当たり633円(前年同月比7.2%高)と6カ月連続、むね肉が同351円(同11.5%高)と、34カ月連続でいずれも前年同月を上回った(図3)。

 主にテーブルミートに仕向けられるもも肉は、季節需要に伴う価格変動が見られ、夏場は家庭で火を使った料理が敬遠されることから需要が減退し、価格が低下する傾向にある。しかしながら、今年は、牛・豚肉に対する価格優位性に支えられた堅調な需要により、夏場においても価格がほとんど下がることなく推移した。

 また、総菜やつくねなど加工・業務用向け需要の多いむね肉は、もも肉と比較して季節変動は小さいものの、季節商材の生産が始まり、加工用需要が旺盛なこともあり、もも肉同様に、夏場においても価格がほとんど下がることなく推移した。

 今後は、気温の低下に伴い、秋冬需要が強くなることから、量販店などの売り場も秋冬用に移行が進むとみられる。量販店では、豚肉の特売が増えつつあるが、鶏肉の需要は落ち込んでおらず、年末の最需要期を控える中、引き続き、堅調な相場の展開を予想する声が多い。

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉、大筋合意に至る

 平成27年10月5日、TPP交渉が大筋合意に至った。現行、鶏肉については、丸どり、骨付きもも肉、その他(骨なし肉など)に8.5〜11.9%の関税率が設定されている。今回の大筋合意で、協定発効後11年目に段階的に関税撤廃されることとなった。ただし、冷蔵丸鶏と冷凍鶏肉(丸鶏および骨付きもも肉を除く)については、段階的に6年目に関税撤廃されることとなった。

(畜産需給部 小林 智也)

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