需給動向 海外 |
今年度の生乳生産、前年度をわずかに上回る見通し |
7月の乳製品輸出量、粉乳類中心に増加 デーリー・オーストラリア(DA)が公表した2015年7月の主な乳製品の輸出量は、以下の通りとなった(図19)。 ・脱脂粉乳 1万1318トン (前年同月比31.0%増) ・全粉乳 3573トン(同12.9%増) ・バター 1747トン(同22.8%減) ・チーズ 1万1208トン(同 6.1%増) バターを除き、いずれも生乳生産量の増加と豪ドル安で推移する為替相場を追い風に、増加傾向にある。脱脂粉乳・全粉乳は、ともに中国向けを中心に大幅に減少した前年の反動から増加となった。また、チーズは、輸出量全体の約半数を占める日本向けを中心に好調に推移している。一方、バターは、堅調な国内需要や前月の大幅な増加の反動から、前年を下回った。 2015/16年度の需給見通し、生乳生産量は増加も、輸出額は減少 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2015年9月、2015/16年度(7月〜翌6月)の牛乳および乳製品需給に関する見通しを公表した(表8)。 これによると、生乳生産量はわずかな増加を見込んでいる。これは、経産牛飼養頭数はほぼ前年並みと予想される一方、経産牛1頭当たり乳量にわずかな増加が見込まれるためとしている。 乳製品生産量について見ると、全粉乳は、最近の国際価格の下落を受け、減少を見込んでいる。一方、全粉乳生産の減少を相殺する形で、他の品目の生産量は増加とみており、バターは国内の需要が強く、脱脂粉乳およびチーズは、アジアからの需要の継続が、生産量の増加を後押しするとしている。 また、乳製品輸出額は、豪ドル安で推移する為替相場が予想されるものの、乳製品国際価格の下落見込みに伴い、前年度をやや下回るとしている。なお、中国やロシアの需要の鈍化が続く一方で、東南アジアや中東、北アフリカの需要は比較的堅調であるとしており、今後、アジア市場では、EUとの競合が高まると見込んでいる。 豪州最大手乳業メーカー、2014/15年度の年次レポートを公表 豪州最大手の酪農協系乳業メーカーであるマレーゴールバン(MG)社は9月、2014/15年度(7月〜翌6月)の年次レポートを公表した。 これによると、同年度のMGの豪州全体の生乳生産に占める集乳量(生乳生産量に相当)割合は横ばい(37%)となったものの、35万8000キロリットル(前年度比5.6%増)と、豪州全体の生乳生産量と同様に前年をやや上回った。一方、乳製品販売額については、287万2000豪ドル(2億4700万円:1豪ドル=86円、同1.5%減)と、乳製品国際価格の下落に伴い減少しており、乳価も、乳固形分1キログラム当たり6.02豪ドル(518円、同11.6%安)と、記録的な高水準となった前年度から一転して、かなり大きく下落している(図20)。 今後の見通しについてMG社は、乳製品国際価格は現在低水準で推移しているものの、今後は価格下落に応じて、米国、EU、ニュージーランドからの供給が減少するとしている。その上で、2015/16年度を通じて乳製品国際価格は回復に転じると見込んでおり、長期的には、国際乳製品市場は、堅調な成長を続けるとしている。 (調査情報部 竹谷 亮佑) |
元のページに戻る