需給動向 海外 |
生乳出荷量の増加で乳価は今年最安値を更新
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生乳出荷量は4カ月連続前年同月増 ドイツ乳製品市場価格情報センター(ZMB)によると、2015年7月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比2.2%増の1317万トンとなり、4月のクオータ撤廃以降4カ月連続で前年同月を上回った。7月単月では、過去3カ年の平均より6.0%増と高い水準となっている(図17)。 生乳取引価格は12カ月連続前年同月安 欧州委員会によると、2015年8月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、5年ぶりに30ユーロを割った前々月からさらに下落し、前年同月比20.6%安の100キログラム当たり29.30ユーロ(3985円:1ユーロ=136円)と今年最安値を更新した(図18)。EU28カ国のうち20カ国で今年最安値を更新したが、主要生産国では、ドイツが前年同月比24.7%安、オランダが同28.3%安と大幅に下落している。 生乳出荷量が増加傾向で推移する上、乳製品国際相場の下落も重なって、平均生乳取引価格は12カ月連続で前年同月を下回っている。 脱脂粉乳およびバターの公的在庫量・民間補助在庫量が積み増し 欧州委員会が9月30日付で公表した統計によると、脱脂粉乳の公的買い入れ(注1)による直近の週(9月21〜27日)の公的在庫量は、9カ国の累計で2万661トンとなった(表5)。主要酪農生産国であるドイツ、フランス、英国などでも公的買い入れが実施されたことで、在庫量は積み増した。なお、直近の週の申請量が減少しているが、関係者によると、これは公的買い入れの規格を満たす紙袋の不足によるものとしている。 また、脱脂粉乳の民間在庫補助(PSA)(注2)による在庫量(7月末時点)は、PSAが発動された2014年9月以降ほぼ毎週申請が続いており、8カ国の累計で2万3472トンとなった(表6)。なお、欧州乳製品輸出入・販売業者連合(Eucolait)によると、さらに申請が増えており、直近(9月27日時点)では3万1905トンと積み増されているもようである。 一方、バターについては、公的買い入れの実施には至ってないが、PSAによる在庫量(7月末時点)は積み増し、9カ国の累計で8万9745トンとなった(表7)。なお、Eucolaitによると、脱脂粉乳と同じく積み増され、9月27日時点で9万9506トンに達しているもようである。 脱脂粉乳およびバターの平均卸売価格は、8月24日の週にそれぞれ今年最安値を更新し、その後は徐々にではあるが値を戻してきているが、依然として低水準で推移している。 (注1) 各加盟国におけるバターおよび脱脂粉乳の卸売価格が公的買入価格を下回った場合、当該国の買入機関が製造業者または取扱業者の申請に基づき同価格で買い入れるもの。 (注2) 民間企業が保管するバターおよび脱脂粉乳の保管費用の一部を補助するもの。 (調査情報部 大内田 一弘)
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