需給動向 国内 |
バター生産量、増加傾向で推移 平成27年8月の生乳生産量は、60万8496トン(前年同月比1.4%増)となり、3カ月連続で前年同月を上回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。これは8月中旬以降、気温が低下したことや、生産基盤強化対策に一定の効果があったことが要因とみられる。 また、バターの生産量は、5月以降4カ月連続で前年同月を上回って推移しており、特に7月は前年同期比12.2%増、8月は同10.5%増と2カ月連続で1割超の増加率となっている(図4)。これは生乳生産量に加え、生乳の乳製品向け処理量も3カ月連続で増加している中、クリーム等向け処理量が4カ月連続で前年割れと、減少傾向にあることも増産の要因である。 また、機構が実施しているバターの市場調査に対し、農林水産省は店頭での欠品状況はかなり改善しているとの認識を示した。店頭にバターがない店舗は1割程度となっている。 8月末のバター在庫量は前年同期比2割増 バターは、生産量が増加した一方で、平成27年4月から8月までの推定出回り量は2万8726トン(前年同期比2.6%減)と、前年よりも減少している。 その結果、8月末の民間在庫量は1万9972トン(前年同月比20.7%増)と大幅に増加している(図5)。また、年末に向けて高まる需要に対応するため、10月、11月には機構によりバターの売渡入札が行われる。 農林水産省、バターのさらなる追加輸入は実施しないと表明 平成27年9月25日、 農林水産省は年末のバター需要期に向けてのさらなる追加輸入は実施しないと発表した。これは、最近の生乳生産が増加傾向にあり、供給が需要を上回る見込みとなっていること、主要乳業メーカーが需要の高まる年末にかけてバターの供給量を増加させる計画があること、今年1月および5月に輸入を決定した1万2800トンのバターが10月末までに順次輸入され、国内の需要者などに売り渡される見込みであることが理由である。 また、規模の小さな洋菓子店なども直接利用できる1個当たり1〜5キログラムの小物バターなど2000トンについても、輸入され次第、速やかに売り渡されることになる。 なお、農林水産省は28年度についても、27年度と同様に1月、5月および9月に輸入の判断を行うことも併せて表明した。 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉、大筋合意に至る 平成27年10月5日、TPP交渉が大筋合意に至った。乳製品のうち、脱脂粉乳・バターについては、現行の国家貿易制度および枠外税率(脱脂粉乳21.3%+396円/kg等、バター29.8%+985円/kg等)を維持するとともに、脱脂粉乳・バター合計で発効当初6万トン→6年目以降7万トン(いずれも生乳換算)のTPP枠が設定される。 また、ホエイについては、脱脂粉乳と競合する可能性が高いものについて、21年目までの長期の関税撤廃期間を設定するとともに、セーフガードの措置付きで関税を削減する。なお、セーフガードは、適用税率を当初の29.8%+120円/kgから21年目に13.4%+75円/kgまで段階的に引き下げ、21年目以降は毎年1.9%+10.7円/kgずつ削減し、3年間発動がなければ終了となる。 (畜産需給部 岡 千晴)
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