需給動向 海外

◆米国◆

生乳生産量は堅調に推移も、乳製品輸出量は軒並み減少


生乳生産量は20カ月連続で前年同月比増

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が9月18日に公表した「Milk Production」によると、2015年8月の生乳生産量は、前年同月比0.8%増の787万7000トンと、2014年1月から20カ月連続して前年同月を上回った(図13)。この要因としては、飼料穀物価格の下落や遺伝的改良の効果による1頭当たりの乳量の増加が挙げられる。同月の1頭当たり乳量は、アルファルファ乾草の価格の上昇を受けて飼料給与量が減少しているカリフォルニア州で同3.4%減少したものの、草地の状況が良好なサウスダコタ州やウィスコンシン州で増加したことから、同0.3%増の845キログラムとなった。

 一方、生産者乳価は、増産を背景とした需給の緩みから2014年12月以降9カ月連続で前年を下回って推移しており、8月は同30.7%安の100ポンド当たり16.7米ドル(1キログラム当たり45円、1米ドル=121円)となった(図14)。

年末の需要期に向けバター価格は上昇見込み

 米国農務省農業市場局(USDA/AMS)が9月4日に公表した「Dairy Market News」によると、8月のバター価格は1ポンド当たり215.4セント(前年同月比16.9%安、1キログラム当たり575円)となった(図15)。バター価格は、昨年9月をピークに急落し、今年に入ってからは前年を下回って推移しているが、主要生産州であるカリフォルニア州での生乳生産量の減少に加え、年末に向けて国内需要の拡大が期待されることから、今後、価格は上昇基調で推移するとみられている。

米ドル高を要因に乳製品輸出は軒並み減少

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)および海外農業局(FAS)によれば、2015年7月のチーズの輸出量は、2万5500トン(前年同月比20.8%減)、脱脂粉乳は4万500トン(同21.9%減)、バターは1700トン(同56.7%減)と、いずれの品目も大幅に減少した(図16)。この要因としては、米ドル高で推移する為替相場の影響を受け、米国産に比べ安価なオセアニア、EU産が輸出シェアを伸ばしたことが挙げられる。

(調査情報部 野田 圭介)

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