需給動向 海外

◆カナダ◆

2015年7月の豚飼養頭数は前年比1.1%増加


豚飼養頭数は増加傾向で推移

 カナダ統計局(Statistics Canada)が8月20日に公表した「Hog Statistics」によると、2015年7月1日現在の豚飼養頭数は前年比1.1%増の1322万5000頭となった(表4)。内訳を見ると、繁殖豚が122万6100頭(同0.8%増)、肥育豚が1199万8900頭(同1.2%増)といずれも増加した。この要因として、飼料穀物価格が安値で推移したことや、米ドルに対してカナダドル安で推移した為替相場により米国向けを中心に豚肉輸出が好調となったことで、収益性が向上したためとみられている。

米国向け生体豚輸出が大幅に増加

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が9月4日に公表した「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2015年1月〜7月にカナダから米国へ輸出された生体豚は前年同期比16.5%増の332万1000頭となった(図9)。

 米国向けの生体豚輸出頭数は、米国が原産地表示(COOL)規則を施行した2008年以降、減少傾向で推移してきた。COOLは、牛肉や豚肉、鶏肉などの食肉に対して、出生や育成、と畜など段階ごとに産地表示を求めるものであり、作業の煩雑化によりコストがかかることから、米国の食肉処理業者などによるカナダおよびメキシコからの生体牛や生体豚の買い控えにつながったとされている。

 2015年の対米輸出増加の背景として、カナダドル安で推移した為替相場に加え、2014年10月に世界貿易機関(WTO)がCOOLをWTO協定違反であるとの裁定を下したことが挙げられる。これにより、COOL撤廃の期待が高まり、今後の米国市場での足場固めを見越してカナダからの生体豚輸出が増加したとみられている。

日本向け豚肉輸出は減少

 2015年1月〜7月の豚肉輸出量は、前年同期比6.0%減の48万1000トンとなった(図10)。輸出先国別に見ると、最大の輸出先である米国向けが20万トン(同22.8%増)と大幅に増加し全体の約4割を占めた。一方、日本向けは米国向け輸出拡大のあおりを受けて同5.5%減となった。なお、2014年に全体の約2割を占めていたロシア向けは、ウクライナ情勢を背景としたロシアの禁輸措置により2015年の輸出実績はない。

(調査情報部 渡邊 陽介)

元のページに戻る