需給動向 国内

◆豚 肉◆

8月の豚肉需給、生産量やや減少


 平成27年8月の豚肉需給は、生産量は前年同月をやや下回る6万3876トン(前年同月比3.1%減)となった。輸入量は、冷凍品が前年同月を大幅に下回ったことから、6万4493トン(同6.4%減)と、前年同月をかなりの程度下回った。推定出回り量は前年同月をやや上回る13万2899トン(同3.1%増)となり、推定期末在庫は前月から4565トン取り崩し、17万8682トン(同15.2%減)と、前年同月をかなり大きく下回った。これで推定期末在庫は3カ月連続の減少となり、在庫調整が進んでいる。(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

8月のと畜頭数、猛暑などにより減少

 豚のと畜頭数は、例年、6月頃から夏場にかけて低水準で推移するものの、9月頃から徐々に増え始め、最需要期の12月に最も多くなる(図2)。27年のと畜頭数は、国内で発生した豚流行性下痢(以下「PED」という)の影響などを受けて、5月まで過去5カ年平均を下回って推移した。6、7月には5カ年平均と同程度の水準まで戻したものの、8月は、今年に入って最も少ない120万669頭と、5カ年平均を約10万頭下回る低水準となった。これは、8月の気温が、東京において8日連続で猛暑日を記録するなど、全国的に高温となり、これによって食欲が低下、ひいては増体が悪化し、出荷時期が遅れたためと考えられる。また、気温が低下した9月(速報値)も5カ年平均を下回っており、依然として伸び悩みが続いている。今後のと畜頭数については、昨年のPEDの影響により大きく減少した10月以降は前年を上回って推移すると見られているが、関係者からは、PEDによる母豚の繁殖成績などへの影響も言われており、例年並みに回復するまでにはもう少し時間を要する可能性もある。

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉、大筋合意に至る

 平成27年10月5日、TPP交渉が大筋合意に至った。豚肉については、差額関税制度は維持され、分岐点価格は部分肉ベースで1キログラム当たり524円と現行と変わらないものの、従量税については、現行の1キログラム当たり482円から、発効当初には同125円に、10年目以降には同50円に引き下げられる。また、従価税については、現行の4.3%から、発効当初には2.2%に、10年目以降には撤廃される。セーフガードについては、発動数量を超過した場合には、従量税を同100〜70円に、従価税を4.0〜2.2%に、それぞれ戻す措置が11年目まで取られることになる。なお、5年目以降の低価格帯豚肉(1キログラム当たり399円未満)に適用される発動数量は、5年目に9万トン、10年目に15万トンとなる。

(畜産需給部 山口 真功)

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