需給動向 海外

◆米 国◆

豚肉価格は、今後さらに低下する見込み


豚飼養頭数は過去最高を記録

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が9月25日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、2015年9月1日現在の豚飼養頭数は6839万5000頭(前年比3.7%増)となり、統計が公表された1988年以来、過去最多となった(表3)。

 内訳をみると、繁殖豚は2015年3月、6月にそれぞれ公表された数値に比べ増加幅が縮小したものの、598万6000頭(同1.1%増)とわずかに増加した。また、肥育豚は6241万頭(同3.9%増)とやや増加し、中でも120ポンド(54.4キログラム)以上の肥育豚の伸びが目立っている。このため、これらが出荷される年末の需要期にかけて、豚肉価格はさらに低下すると見込まれている。

 また、豚流行性下痢(PED)の発生により落ち込んでいた1腹当たり産子数は、2014年3月〜5月以降回復し、2015年6月〜8月では前年同期比2.3%増の10.39頭と、記録的な高水準に達した。

豚肉生産量も9カ月連続で前年同月比増

 USDA/NASSが9月24日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2015年8月の1頭当たり枝肉重量は、PEDの影響による出荷頭数の減少分を仕上げ体重の増加で補う動きにより増体が進んだ前年に比べ1.4%減少(94.8キログラム)し、例年並みの水準に戻りつつある。一方、同月の豚と畜頭数は、934万7000頭(前年同月比13.0%増)と大幅に増加したため、豚肉生産量は88万4000トン(同11.2%増)と、9カ月連続で前年同月を上回った(図7)。

需給緩和により、肥育豚価格は低迷

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が9月4日に公表した「Pork: Monthly US Trade」によると、2015年7月の豚肉輸出量は、前年同月並みの17万9000トンとなった。輸出先国別に見ると、メキシコ向けは、高値が続く米国産牛肉からの代替需要などから、前年同月比14.5%と大きく増加した。一方、米ドル高で推移する為替相場の影響などから日本向けは同0.9%減(4万7000トン)、カナダ向けは同2.6%減(2万トン)と減少した。

 また、同月の豚肉輸入量は、カナダドルに対する米ドル高の影響により、カナダからの輸入量が2014年の9月以降、11カ月連続で前年を上回って推移していることなどから、同7.5%増(3万9000トン)となった。

 USDA/ERSによると、2015年8月の肥育豚価格(生体)は、豚肉生産量の増加に加えて、輸入量も増加するなど需給が緩和傾向にあることから、前年同月比30.3%安の100ポンド当たり56.0米ドル(1キログラム当たり149円:1米ドル=121円)(速報値)となった。肥育豚の価格は2015年2月以降、前年同月を大幅に下回って推移している(図8)。

(調査情報部 野田 圭介)

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