需給動向 国内

◆牛 肉◆

冷凍品輸入量は在庫増を背景に大きく減少


 平成27年6月の牛肉需給は、生産量は2万7183トン(前年同月比1.1%減)と、全国的な出荷頭数の減少が続く中、3カ月連続で前年同月を下回った。輸入量は前年同月をかなり大きく下回る3万9132トン(同11.4%減)、推定出回り量は前年同月をやや下回る6万1924トン(同4.5%減)、推定期末在庫は前月から4284トンを積み増し、14万4473トン(同30.5%増)と前年同月を大幅に上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

米国産高値を受けて、冷蔵品を中心に豪州産への切り替えが進行

 平成27年6月の冷蔵品輸入量は、1万7320トン(前年同月比5.4%減)と、前年同月をやや下回った。国別に見ると、最も輸入量が多い豪州産は、1万1491トン(同15.7%増)と前年同月をかなり大きく上回った一方で、次に輸入量の多い米国産は、4968トン(同35.1%減)と前年同月を大幅に下回った。

 卸売関係者によると、米国産は、7月4日の独立記念日に向けて、ロイン系を中心に現地相場の高止まりが続き、買い控えが生じたとしている。一方で、豪州産についても、為替の円安基調や旺盛な輸出需要などを背景に、輸入コストは増加しているものの、日豪EPA発効2年目の27年度は、関税率が冷蔵品で31.5%、冷凍品で28.5%に削減されていることもあり、米国産に対して価格優位性のある豪州産への切り替えが進んでいるとみられる(表1)。

 また、冷凍品については、6月は2万1756トン(同15.7%減)と、前年同月をかなり大きく下回った。国別に見ると、豪州産が1万3828トン(同4.1%減)と小幅ながら、米国産が5717トン(同23.0%減)と大幅に、いずれも前年同月を下回った。一部外食チェーンの業績悪化に伴う出回り量の減少などを背景に、国内在庫の約9割を占める輸入冷凍品在庫が積み増していることもあり、在庫調整が行われているものとみられる。

 6月の輸入品仲間相場を見ると、牛丼などに使われることの多い米国産ショートプレートは1キログラム当たり622円(同20.7%安)と、前年を大幅に下回っているほか、ハンバーガーパティなどの加工用として使われることの多い豪州産カウミートも、在庫増を背景に、低下傾向が続いている(図1)。

 もっとも、値下がりしているのは、上記など一部品目のみであり、輸入牛肉全体の相場は高水準が続いていることから、今後の輸入動向が注目される。

表1 日豪EPA発効に伴う豪州産牛肉の関税率削減スケジュール
図1 牛肉の輸入品仲間相場の推移
資料:農畜産業振興機構調べ
  注:消費税を含まない。
(畜産需給部 二又 志保)

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