需給動向 海外 |
生乳生産、輸出量はともに増加傾向 |
2014/15年度の生乳生産量は デーリー・オーストラリア(DA)によると、2015年6月の生乳生産量は65万9800キロリットル(67万9600トン相当、前年同月比0.1%増)となり、6カ月連続で前年同月を上回った(図19)。
地域別に見ると、比較的降雨量の多かったニューサウスウェールズ州(同0.3%増)や南オーストラリア州(同1.5%増)、西オーストラリア州(同14.3%増)では前年同月を上回っている。一方、降雨量の少なかったビクトリア州(同0.4%減)やクイーンズランド州(同7.1%減)では前年同月を下回っており、天候要因に加えて、牧草の不作を補うための飼料穀物の価格の上昇も生乳生産に影響を与えているとみられている。 また、2014/15年度(7月〜翌6月)の累計は947万8900キロリットル(976万3300トン相当、前年度比2.6%増)となり、近年では2011/12年度実績に匹敵する高い水準となった。2015/16年度の生産見通しについてDAは、生産量は引き続き増加するものの、国際乳製品価格の下落などにより、増加率は鈍化する可能性があるとしている。 5月の乳製品輸出量、東南アジアからの需要を受け増加 DAが公表した2015年5月の主な乳製品の輸出量は、以下の通りとなった(図20)。 ・脱脂粉乳:1万 790トン ・全粉乳 : 7442トン ・バター : 2760トン ・チーズ :1万 5820トン
国別輸出実績(注)を見ると、中国を除くアジア地域の乳製品需要は堅調であり、脱脂粉乳はインドネシア(2500トン、前年同月比13.9%増)やシンガポール(1200トン、同27.4%増)を中心に、全粉乳はスリランカ(1700トン、同25.5%増)やバングラデシュ(1400トン、同21.5%増)を中心に増加している。また、バターは、東南アジア地域での食の欧風化を背景とした需要の高まりを受けて、マレーシア(260トン、同45.1%増)を中心に増加しつつある。なお、チーズについては、国際価格の下落を受け、主要輸出先である日本(7900トン、同36.9%増)向けが増加している。 (注)豪州の月別輸出量統計を抽出(「Global Trade Atlas」)。各品目のHSコードは以下の通り。 国際価格低迷を受け、乳業メーカーは収益悪化の見通し DAが6月に発表した「Dairy Situation and Outlook」によると、2015/16年度の国際乳製品価格は、今後も安値傾向が続くと見込まれる。これは、中国やロシアといったこれまで国際乳製品需要をけん引してきた両国向け輸出が引き続き低迷している一方、良好な気候を受け主要生産国の生乳生産が引き続き堅調に推移していることによる。 豪州の主要乳業メーカーの一つであるワーナンブール社が7月13日の年次総会の中で発表した収益見通しも、こうした動向を反映したものとなった。同社は、2016/17年度はこれまでの予想通り、乳製品国際価格の下落により収益の悪化を見込んでいる。同社は、乳製品国際価格の回復には時間がかかるとしており、2015/16年度末ないし2016/17年度初頭までは、この状態が続くとしている。 (調査情報部 竹谷 亮佑) |
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