需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

6月の生乳生産量は都府県が32カ月ぶりに増加


 農林水産省が発表した牛乳乳製品統計によると、平成27年6月の生乳生産量は62万4650トンで前年同月比0.9%増となり、回復傾向がうかがえる。ただしこれは、同3.0%減となった前年同月からの反動であり、2年前の6月と比べると2.1%減となっている(図5)。

 また、4〜6月累計では前年同期比0.1%増の189万8613トンとなり、前年同期をわずかに上回る結果となった。

生乳生産量は主産地で増加

 平成27年6月の生乳生産量を地域別に見ると、北海道が32万8697トンで前年同月比1.4%増となったことに加え、都府県は29万5953トンで同0.5%増と、32カ月ぶりの増加となった。なお、都府県のうち約3割のシェアを占める関東が同1.7%増、2割弱を占める九州も同2.5%増と、主要生産地域で増加している。中国・四国でも前年同月比増に転じた一方、東北や東海では減少傾向に歯止めがかかっていない。

7月のホクレン生乳受託乳量(速報値)は前年同月比1.9%増

 ホクレン農業協同組合連合会によれば、平成27年7月の生乳受託乳量(速報値)は、32万6283トンで前年同月比1.9%増となった(図6)。

 北海道における生乳生産の回復は、牧草の生育状況がおおむね良好であることに加え、農協が独自に実施している生乳増産に対する奨励金交付事業などが一定の効果を挙げていることによるとされる。

牛乳等向け処理量は4カ月連続増加

 牛乳乳製品統計の平成27年6月の用途別処理量を見ると、牛乳等向けは34万9033トン(前年同月比1.0%増)となり、4カ月連続で増加している。4月に行われた値上げの影響は少なかったものとみられる。

 また、乳製品向けについても、27万983トン(同1.0%増)と増加した。内訳としては、チーズ向けが3万8371トン(同6.4%減)、クリーム向けが10万6828トン(同0.6%減)となった一方、脱脂粉乳・バター等向けは12万3889トン(同4.3%増)となった。

Jミルクによる平成27年度の生乳生産見通しは前年度並み

 一般社団法人Jミルクが平成27年7月23日に公表した「平成27年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと当面の課題」によれば、平成27年度の生乳生産見通しは、前年度並みの732万6000トン(北海道386万1000トン(前年度比1.1%増)、都府県346万5000トン(同1.3%減))となっている。

 なお、Jミルクでは、夏季における生乳生産量の維持を図るためには、暑熱対策や飼料設計などの適切な取り組みが重要とするとともに、生乳生産現場で推進されている後継牛確保や増産対応などの努力が着実な成果につながるよう、業界関係者が一丸となって酪農経営を支えていくことが求められる、としている。

図5 月別生乳生産量と増減率(前年同月比)の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
図6 北海道の生乳受託乳量の推移
資料:ホクレン
  注:直近の値は速報値
(畜産需給部 岡 千晴)


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