需給動向 海外

◆米国◆

2015年第2四半期の生乳生産量は過去最高


生乳価格は低調に推移

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が7月21日に公表した「Milk Production」によると、2015年第2四半期(4〜6月)の乳用牛の平均飼養頭数は前年同期比0.5%増の931万9000頭となった。また、1頭当たりの一月当たり泌乳量は870キログラムと前年同期をわずかに上回った(前年同期比0.6%増)。この結果、生乳生産量は、同1.4%増の2431万9000トンとなり、四半期としては過去最高を記録した(図13)。州別では主要生乳生産州であるカリフォルニア州が、干ばつの影響から乳用牛の飼養頭数および1頭当たり泌乳量が減少し、同3.0%減の483万2000トンとなった一方、草地の状況が良好なミシガン州やウィスコンシン州などでは増加した。

図13 生乳生産量の推移
資料:USDA/NASS
  注:2015年第3四半期および第4四半期は予測値。

 USDAは、今後も乳用牛の飼養頭数および1頭当たり泌乳量ともに前年を上回って推移すると見込んでおり、2015年第3四半期の生乳生産量を2345万1000トン(前年同期比1.0%増)、第4四半期を2340万5000トン(同1.2%増)と見込んでいる。

 また、生乳生産量の増加を受けて、同年6月の生乳価格は前年同月比27.2%安の100ポンド当たり16.9米ドル(1キログラム当たり47円:1米ドル=125円)となった。

脱脂粉乳生産量は高水準を維持

 USDA/NASSが8月4日に公表した「Dairy Products」によると、2015年6月の乳製品生産量のうち、バターは、主要生産州であるカリフォルニア州で生乳生産減を背景にかなり減少したものの、東部地域を中心に増産したことから、前年同月比1.7%増の6万5000トンとなった。チーズは、最大の生産州であるウィスコンシン州の増加を反映して同1.5%増の3万5000トンとなった。また、脱脂粉乳は同10.6%増の7万5000トンとなり、メキシコやアジアを中心とした高い海外需要により2014年2月以降前年を上回って推移している(図14)。

図14 脱脂粉乳生産量の推移
資料:USDA/NASS

チーズの在庫がかなりの程度積み上がる

 USDA/NASSが7月22日に公表した「Cold Storage」によると、2015年6月末時点のバターの在庫量は、前年同月比27.8%増の11万6000トンとなった。国内外からの好調な需要を背景に低水準であった前年からの反動によるものとみられている。また、同時点のチーズ在庫量は同8.1%増の51万8000トンとなり、史上最高となった2013年の水準(52万1000トン)に迫っている(図15)。この要因としては、好調な生乳生産量に後押しされたチーズ生産の増加や、EUやニュージーランド産の輸入増加により、需給が緩んでいることが挙げられる。

図15 チーズ在庫量の推移
資料:USDA/NASS
(調査情報部 渡邊 陽介)

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