需給動向 海外 |
豚飼養頭数の減少で豚価が高騰
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豚飼養頭数および豚肉生産量は減少傾向 中国農業部によると、2015年2月に4億頭を割り込んだ豚飼養頭数は、依然として減少傾向にあり、同年6月は3億8459万頭(前年同月比10.3%減)となった(図9)。また、繁殖母豚頭数も引き続き減少傾向にあり、同年6月は3900万頭(同15.1%減)となった。
飼養頭数の減少に伴い、豚肉生産量も減少している。 中国国家統計局によると、2015年第2四半期(4〜6月)の豚肉生産量(枝肉重量ベース)は、1017万トン(前年同期比7.4%減)となった(図10)。1〜6月では4.8%の減少となっている。
豚出荷価格および小売価格は上昇に転じる 豚出荷価格は、需要期である1月の春節(旧正月)を過ぎた3〜4月を底に上昇し、9月をピークに下降する季節変動を繰り返しているが、2015年は繁殖母豚頭数減による減産を反映し、6月は1キログラム当たり14.9元(298円(注1)、前年同月比12.5%高)、7月は同16.9元(338円、同24.7%高)と、前年同月をかなりの程度上回って推移している(図11)。現地報道などによると、飼養頭数および繁殖母豚頭数の回復には一定の時間がかかることから、豚出荷価格の上昇は、少なくとも来年第1四半期まで続くとみられる。 注1:1元=20円。
また、豚肉小売価格も豚出荷価格に連動し、5月以降高騰しており、6月は1キログラム当たり25.4元(508円、前年同月比7.0%高)となり、7月は同28.2元(564円、同17.5%高)となった(図12)。飼養頭数の減少が続いていることから、小売価格は例年と異なり、豚出荷価格同様、来年第1四半期まで上昇傾向で推移するとみられている。
2015年1〜6月の豚肉輸入量、前年同期比7.6%増 2015年1〜6月の豚肉輸入量は、前年同期比7.6%増の31万9891トンとなった(表7)。国別に見ると、これまで最大の輸入先であった米国産は、中国政府による2013年3月からのラクトパミン(注2)残留検査に対する規制強化を受け、前年同期比31.4%減と大幅に減少した一方、ドイツ、スペイン、デンマークなどEU諸国からの輸入量が増加している。これらEU諸国からの輸入量が増加した背景には、ポーランドで発生したアフリカ豚コレラを理由に、ロシアが2014年2月にEU産豚肉の禁輸措置を講じたことにより、中国が代替市場となっていることがある。 注2:豚や牛の体重増加や飼料効率の改善、赤身肉割合の向上に用いられる動物用医薬品。
(調査情報部 伊澤 昌栄)
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