需給動向 海外 |
◆チ リ◆
2015年上半期の豚肉生産量、前年から増加 |
枝肉重量の増加が後押し チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2015年1〜6月の豚と畜頭数は、前年同期比1.4%減の252万6655頭となった。一方、同期間の豚肉生産量(枝肉重量ベース)は、同1.0%増の25万8142トンとなった(図8)。
同国では、2012年に最大手の大規模養豚施設が環境問題による近隣住民の反対により閉鎖して以降、2013、2014年と豚肉生産量が減少していた。しかしながら、2015年上半期は、飼料原料価格が安価に推移したことで飼料が多給された結果、1頭当たり枝肉重量が前年同期比2.5%増加し、豚肉生産量は前年から増加に転じた。 輸出量は大幅増 2015年1〜6月の豚肉輸出量は、前年同期比17.4%増の6万3961トンとなった(表5)。背景としては、生産量の増加に加え、国内の豚肉価格が低調に推移する中、収益性に優れる輸出向けに多く仕向けられたことが挙げられる。 最大の輸出先となった韓国は、国内生産が減少していることから、チリ産を含め各国からの輸入を増やしており、2015年1〜6月は前年同期比68.7%増と大幅に増加している。また、中国やロシアでは、チリ産豚肉がラクトパミン(注)を使用していないことから、近年引き合いが強くなっている。加えて、ロシアは欧米に対する禁輸措置の影響で、チリ産の需要が増加している。 注:豚や牛の体重増加や飼養効率の改善、赤身肉割合の向上に用いられる動物用医薬品。
一方、日本向けは、ロシア市場を失ったEU産が安価で流入した結果、同28.6%減の大幅な減少を記録した。 チリでは、国内生産が停滞している中、輸出は好調に推移しており、需給はひっ迫傾向にある。このため、人口増と経済成長を受けて拡大する国内需要を賄うべく、安価な外国産豚肉の輸入量が拡大しており、2015年1〜6月では、前年同期比11.2%増の1万4584トンとなった(表6)。
2015年は増産も、対日輸出は減少見込み チリの生産量シェアの9割を占める生産者で構成する豚肉生産者協会(ASPROCER)によると、2015年の豚肉生産量は、枝肉重量が増加していることに加え、国内の一部の豚肉生産者で発生していた豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)からの回復が見込まれることより、前年から3%程度増加する可能性があるとしている。輸出については、ロシアが欧米に対する禁輸措置を1年延長したことから、引き続き、ロシアにおけるチリ産の引き合いが強まるとみられ、相対的に日本向けが2003年以降最少となる可能性がある。 (調査情報部 米元 健太)
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