需給動向 国内 |
在庫調整、より一層進む可能性も
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平成27年6月の豚肉需給は、生産量はと畜場稼働日数が前年同月に比べ多かったことから、前年同月をやや上回る7万758トン(前年同月比3.9%増)となった。輸入量は前年同月をわずかに下回る6万4516トン(同2.6%減)となったものの、推定出回り量は前年同月をかなり大きく上回る14万356トン(同14.7%増)となり、推定期末在庫は前月から5123トン取り崩し、18万8701トン(同0.2%増)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 冷蔵品輸入量、今後も増加基調が継続か 平成27年6月の冷蔵品輸入量は、2万4547トン(前年同月比12.5%増)と、前年同月をかなり大きく上回った(図2)。冷蔵品輸入量は、米国産とカナダ産で9割以上を占めており、これら2カ国の需給動向によって輸入量が変動することも多い。昨年、米国において豚流行性下痢(PED)発生の影響から現地相場高が続いていたが、最近ではその影響も下火となり、秋以降の生産量は増加すると予測されている。そのため、為替は依然、円安基調で推移しているものの、輸入業者にとって昨年より買い付けしやすい環境となっている。これに加え、日本においては国内生産量が伸び悩んでおり、今年に入っても前年同月を下回る月が多い。生産量の減少から国産枝肉卸売価格(省令価格)は高値で推移しており、量販店などにおいては、国産豚肉を特売の目玉としにくい状況が続いているといえる。こうしたことから、今後、主にテーブルミートとして消費され、国産豚肉と競合関係にある冷蔵品輸入量が増加基調となることも考えられる。 一方、冷凍品については、6月の輸入量は3万9950トン(同10.1%減)と、前年同月をかなりの程度下回った(図2)。ただし、国別に見ると、スペイン産は6936トン(同31.5%増)と、依然として増加傾向が続いており、需要が定着していることがうかがえる。昨年はロシアの禁輸問題に伴うEU各国からの売り込み、日本国内でのPED発生に伴う供給不安、米国内での牛肉の代替需要やPED発生による現地相場高により、EU産を中心に冷凍品輸入量は急増したが、今年は落ち着きを取り戻した格好となっている。 こうしたことから、昨年10月に22万トン台まで積み増した推定期末在庫は、4、5月に若干積み増したものの、6月まで19万トン前後で推移している。しかしながら、いまだ在庫水準が高いとの声も聞かれ、より一層在庫調整が進む可能性もあり、今後とも注視する必要がある。
(畜産需給部 山口 真功)
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