需給動向 海外

◆米 国◆

供給増で、年内の需給は緩和見込み


豚肉生産量はかなり大きく増加

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月26日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、2015年6月1日現在の豚飼養頭数は6690万頭となり、豚流行性下痢(PED)の影響により頭数が減少した前年を8.7%上回った(表4)。

表4 豚飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS
  注:計数は、四捨五入のため、合計において一致しない場合がある。

 内訳は、肥育豚が6097万5000頭と前年比9.4%増であることに加え、繁殖豚も生産者の増頭意欲が継続していることから、同1.2%増加している。また、1腹当たり産子数についても、前年同期比6.0%増の10.37頭と大きく改善されている。

 1腹当たり産子数および分娩母豚頭数の増加から、離乳子豚頭数は前年比7.5%増の2956万3000頭となり、これらの子豚が出荷される第4四半期のと畜頭数増が見込まれている。

 USDA/NASSが7月23日に公表した「Livestock Slaughter」によれば、2015年6月の豚と畜頭数は、前年同月比16.4%増の942万7000頭と大幅に増加した。

 一方、1頭当たり枝肉重量は、同0.9%減の96.2キログラムと3カ月連続で前年同月を下回り、増体傾向に歯止めがかかっている。

 と畜頭数の増加を受けて、2015年6月の豚肉生産量は、前年同月比15.1%増の90万5000トンとかなり大きく増加した(図6)。

図6 豚肉生産量の推移
資料:USDA/NASS
  注:枝肉重量ベース。

需給の緩和により価格は低迷

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が8月6日に公表した「Pork: Monthly US Trade」によると、2015年6月の豚肉輸出量は、前年同月並みの18万7000トンとなった。輸出先国別に見ると、メキシコ向けは、メキシコ国内で高値が続く牛肉からの代替需要などから、加工向け部位を中心に前年同月比20.5%増と大きく増加した。また、米ドル高の影響などから日本向けは同9.3%減の4万6000トン、カナダ向けが同13.3%減の1万8000トンと減少した。一方、同月の豚肉輸入量は、カナダドル安によりカナダからの輸入量が増加したことなどから、同23.1%増の4万3000トンとなった。

 また、7月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー(注))は、生産量の増加に加えて、輸入量も増加するなど需給が緩和傾向にあることから、前年同月比38.6%安の100ポンド当たり82.0米ドル(1キログラム当たり226円:1米ドル=125円)(速報値)であった。2015年2月以降、同価格は前年同月を大幅に下回って推移している(図7)。

(注)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。

図7 豚肉卸売価格の推移
資料:USDA/ERS
  注:カットアウトバリュー。
(調査情報部 平石 康久)

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