調査・報告  畜産の情報 2015年9月号

最近の食肉流通の実態
〜食肉流通実態調査の結果を踏まえて〜

公益財団法人日本食肉流通センター 計画部長 森田 孝行


【要約】

 国産牛肉の仕入・販売について、大手食肉卸売業者は、主に産地食肉センターから部分肉フルセットで仕入れ、主にスーパーに部分肉パーツで販売しているのに対し、中小食肉卸売業者は、主に食肉卸売市場から枝肉・部分肉パーツで仕入れ、スーパー・食肉卸を中心に部分肉パーツや精肉で販売している。

 また、牛肉および豚肉の小割規格部分肉の製造・販売については、大手食肉卸売業者は主に産地食肉センターで、中小食肉卸売業者は、主に自社の加工施設などで行っている。

 (公財)日本食肉流通センターは平成26年、近年のライフスタイルなどの変化に伴う食の外部化や、卸売業の主要な機能であるロジスティクス機能を運輸業者・冷蔵倉庫業者が担うようになっていることなどを踏まえ、全国の食肉卸売業者(以下「食肉卸」という)、輸入商社、小売業者、外食・総菜事業者2067社を対象に、卸売段階から小売段階に至るまでの部分肉の取引実態などを調査した。

 本稿は、このうち411社から得られた回答に基づきとりまとめた結果のうち、その概要を紹介する。詳細を知りたい方は、全文を当センターのホームページ(http://www.jmtc.or.jp/promotion/relation.html)に掲載しているので、参考にされたい。

 なお、本稿で使用する主な用語は表のとおりである。

表 主な用語の解説

1 食肉卸の取引実態

(1)牛肉

ア 仕入先

 食肉卸の国産牛肉(和牛・交雑牛・乳牛)の仕入先は、和牛、乳牛は「産地食肉センター」が総じて多くなっている(図1)。

 このうち、和牛は「産地食肉センター(44%)」が最も多く、次いで「生産者など(生産者団体、農業生産法人を含む)(22%)」、「食肉卸売市場(19%)」、「食肉卸(11%)」の順となっている。

 交雑牛は「食肉卸売市場(29%)」が最も多く、次いで「産地食肉センター(28%)」、「食肉卸(21%)」、「生産者など(18%)」の順となっている。

 乳牛は、「産地食肉センター(43%)」が最も多く、次いで「生産者など(24%)」、「食肉卸(17%)」、「食肉卸売市場(10%)」の順となっている。

図1 牛肉の仕入先

 規模別では、大手食肉卸売業者(以下「大手食肉卸」という。平成25年の食肉の年間売上高が500億円以上の企業)は、和牛、交雑種、乳牛の仕入先ともに「産地食肉センター(71.1%、51.7%、61.6%)」が最も多くなっている。

 中小食肉卸業者(以下「中小食肉卸」という。平成25年の食肉の年間売上高が500億円未満の企業)は、和牛、交雑牛の仕入先は「食肉卸売市場(32.3%、36.6%)」が最も多くなっている。乳牛の仕入先は「生産者団体(28.1%)」が最も多く、次いで「中小食肉卸(20.5%)」となっている。

 大量取引を行っている大手食肉卸では、大量仕入れが可能な「産地食肉センター」からの仕入れが多くなり、取引規模が比較的小さい中小食肉卸では、1頭ごとに肉質を見分けることができる「食肉卸売市場」からの仕入れが多くなっていると考えられる。

 一方、輸入牛肉の仕入先は、大手食肉卸では「輸入商社(49.5%)」、自社による海外パッカーからの直接輸入などである「その他(36.3%)」が多くなっているのに対し、中小食肉卸では「輸入商社(63.1%)」、「大手食肉卸(20.7%)」が多くなっている。

イ 仕入形態

 食肉卸の国産牛肉の仕入形態は、和牛は、「枝肉(42.5%)」、「部分肉フルセット(41.9%)」、「部分肉パーツ(15.2%)」の順となっている(図2)。

 交雑牛は、「枝肉(46.3%)」、「部分肉フルセット(28.0%)」、「部分肉パーツ(25.4%)」の順となっている。

 乳牛は、「部分肉フルセット(40.2%)」が多く、「部分肉パーツ(34.9%)」、「枝肉(24.8%)」の順となっている。

図2 牛肉の仕入形態
注1:仕入量は部分肉ベース
  2:国産牛の枝肉仕入れは、枝肉を購買し、部分肉加工を外部委託して仕入れているものも
    含まれている。

 規模別では、大手食肉卸は、和牛、交雑牛、乳牛の仕入形態ともに「部分肉フルセット(68.5%、49.8%、53.1%)」が最も多くなっている。

 中小食肉卸は、和牛、交雑牛、乳牛の仕入形態ともに「枝肉(74.3%、67.0%、51.0%)」が最も多くなっている。

 大手食肉卸では、「産地食肉センター」からの仕入れが多いことから、部分肉フルセットによる仕入れが多くなる傾向があるのに対し、中小食肉卸では、「食肉卸売市場」からの仕入れが多いことから、枝肉による仕入れが多くなっていると考えられる。

 一方、輸入牛肉の仕入形態は、「部分肉パーツ」が約8割となっている。

 規模別では、大手食肉卸では「部分肉パーツ(74.5%)」、「部分肉フルセット(25.5%)」の順となっている。

ウ 仕入・販売時の整形状態

 食肉卸の仕入・販売時の国産牛肉の整形状態は、一般的に「ノーマル規格」と「小割規格」があり、「小割規格」は需要者の規格も多いことから部位数や整形の仕様が多様となっている。

 和牛、交雑牛、乳牛のいずれも、「ノーマル規格」が「小割規格」を大幅に上回っている(図3、4)。

 一方、輸入牛肉は、ほとんどが原産国の「パッカー規格(99.2%)」で仕入れ、「パッカー規格(99.2%)」で販売している。

 規模別では、大手食肉卸の国産牛肉の仕入・販売時の整形状態は、ほとんどが「小割規格」で仕入れ、「小割規格」で販売しているのに対し、中小食肉卸は、仕入れが「ノーマル規格」が約8割、「小割規格」が約2割に対し、販売では「ノーマル規格」が約6割、「小割規格」が約4割に変化している。

図3 牛肉の仕入れ時の整形状態
注:数値は回答企業数割合であり、取扱規模などによるウエイトづけは行っていない。
図4 牛肉の販売時の整形状態
注:数値は回答企業数割合であり、取扱規模などによるウエイトづけは行っていない。

 大手食肉卸では、「産地食肉センター」からの仕入れが多いことから、ほとんどの部分肉が産地で小割規格に加工されて販売されるが、中小食肉卸では、仕入れから販売の過程で、部位数が多くなる部分肉加工が少なくとも2割行われていると考えられる。

エ 販売先

 食肉卸の牛肉の販売先は、総じて「小売業(スーパー・専門小売店、その他小売店)(51%)」が最も多く、「外食(16%)」、「食品製造業(15%)」、「食肉卸(15%)」の順となっている(図5)。

図5 牛肉の販売先

 規模別では、大手食肉卸は、和牛、交雑牛、乳牛の販売先ともに「スーパー(56.9%、43.2%、71.1%)」が最も多くなっている。

 中小食肉卸は、和牛の販売先は「食肉卸(33.8%)」が多く、次いで「スーパー(25.3%)」となっている。交雑種、乳牛の販売先は、「スーパー(34.0%、42.8%)」、次いで「食肉卸(31.6%、25.6%)」となっている。

 大手食肉卸は、主に大量取引が可能となる大手スーパー向けの販売が多くなっているのに対し、中小食肉卸は、取引単価が高いことや部位数が多いことに加えて、シェルフライフ(保存可能期間)が長いことから、食肉卸への販売など多段階流通になっていると考えられる。

 一方、輸入牛肉チルドの販売先は、大手食肉卸は「スーパー」が約6割と最も多くなっているのに対し、中小食肉卸は「スーパー(28.9%)」、「食肉卸(24.8%)」、「その他外食(12.8%)」、「焼肉店(12.0%)」など小売業以外が多くなっている。

 輸入牛肉フローズンの販売先は、大手食肉卸は「食品製造業(27.2%)」、「その他外食(24.0%)」、「総菜・弁当(15.2%)」、「スーパー(13.7%)」の順で多くなっているのに対し、中小食肉卸では、「食肉卸(25.6%)」、「焼肉店(13.5%)」、 「自社加工向け(12.8%)」の順で多くなっている。

 特に輸入牛肉フローズンは小売業以外の業種に販売される傾向があると考えられる。

オ 販売形態

 食肉卸の販売形態は、和牛は「部分肉フルセット(46.6%)」が「部分肉パーツ(42.8%)」を若干上回っている。

 交雑牛および乳牛は「部分肉パーツ(52.6%、61.2%)」が「部分肉フルセット(39.1%、33.3%)」を上回っている(図6)。

 和牛は取引単価が高いため、販売者にとって売れ残りリスクを生じさせるパーツ取引よりも、そのリスクを伴わないフルセット取引になる傾向があるのに対し、乳牛は取引単価が安いため、売れ残りリスクが比較的低いことからパーツ取引が多くなると考えられる。

 販売先を業種別(小売業者、外食、総菜・弁当事業者)にみると、総じて「部分肉パーツ」による販売が多くなっているが、中小食肉卸ではいずれも「精肉」による販売が多くなっており、特に総菜・弁当事業者では約7割が「精肉」による販売となっている。

図6 牛肉の販売形態−部分肉セット・パーツ区分−

(2)豚肉

ア 仕入先

 食肉卸の国産豚肉の仕入先は、「産地食肉センター(31%)」、「自社系列農場(24%)」、「生産者(20%)」、「食肉卸(15%)」の順となっている(図7)。

 国産豚肉は、国産牛肉と比べると「自社系列農場(24%)」が多くなる一方で、「食肉卸売市場(10%)」が少なくなっている。

 なお、自社系列農場が多いのは生産流通の垂直統合化が進んでいるためと思われる。

図7 豚肉の仕入先

 規模別では、大手食肉卸は、「産地食肉センター(50.3%)」および「自社系列農場(37.3%)」が多くなっているのに対し、中小食肉卸は、「生産者、農業生産法人など(29.7%)」、「食肉卸売市場(18.1%)」、「大手食肉卸(15.4%)」の順で多くなっている。

 大手食肉卸は、仕入規模が大きく一部では農場までの垂直統合化が進んでいることから、「産地食肉センター」および「自社系列農場」からの大量仕入れが可能となるが、取引規模が比較的小さい中小食肉卸は、仕入規模に見合った「生産者など」、「食肉卸売市場」および「大手食肉卸」からの仕入れが多くなると考えられる。

 一方、輸入豚肉の仕入先は、規模別では、大手食肉卸は「輸入商社(48.2%)」と自社による原産国パッカーからの直接輸入などである「その他(41.8%)」が多くなっているのに対し、中小食肉卸は「輸入商社(60.8%)」、「大手食肉卸(26.6%)」、「中小食肉卸(12.3%)」の順で多くなっている。

イ 仕入形態

 食肉卸の国産豚肉の仕入形態は、仕入先が産地食肉センターや自社系列農場が多いことから、「部分肉フルセット(52.2%)」、「枝肉(26.2%)」の順となっている(図8)。

図8 豚肉の仕入形態−部分肉セット・パーツ区分ー
注1:仕入量は部分肉ベース
  2:国産牛の枝肉仕入れは、枝肉を購買し、部分肉加工を外部委託して仕入れているものも
   含まれている。

 規模別では、大手食肉卸は「部分肉フルセット(89.9%)」が最も多くなっているのに対し、中小食肉卸は「枝肉(55.2%)」、「部分肉パーツ(34.4%)」の順で多くなっている。

 大手食肉卸は、「自社系列農場」からの仕入れが多いこともあって「部分肉フルセット」が多くなっているが、中小食肉卸は、「生産者など」、「食肉卸売市場」および「大手食肉卸」からの仕入れが多いことから、「枝肉」や「部分肉パーツ」が多くなっていると考えられる。

 一方、輸入豚肉の仕入形態は、7割強が「部分肉パーツ」となっており、大手食肉卸は「部分肉フルセット(29.9%)」もある。

ウ 仕入・販売時の整形状態

  食肉卸の国産豚肉の仕入・販売時の整形状態は、一般的に「ノーマル規格」と「小割規格」に区分されるが、「小割規格」は需要者の規格も多いことから部位数や整形の仕様が多様となっている(図9、10)。

図9 豚肉の仕入時の整形状態
注:数値は回答企業数割合であり、取扱規模などによるウエイトづけは行っていない。
図10 豚肉の販売時の整形状態
注:数値は回答企業数割合であり、取扱規模などによるウエイトづけは行っていない。

 国産豚肉は、「ノーマル規格(88.7%)」が「小割規格(9.2%)」を大幅に上回る一方、輸入豚肉は、「パッカー規格」が100%となっている。

 規模別では、大手食肉卸は、国産豚肉の約8割をノーマル規格で仕入れ、ノーマル規格で販売しているのに対し、中小食肉卸では仕入れはノーマル規格が約9割、小割規格が約1割に対し、販売はノーマル規格が約7割、小割規格が約3割に変化している。

 中小食肉卸は、仕入れから販売の過程で、部位数が多くなる部分肉加工が少なくとも2割行われていると考えられる。

 一方、輸入豚肉は、全て「パッカー規格(100%)」で仕入れ、「パッカー規格(100%)」で販売している。

エ 販売先

 食肉卸の豚肉の販売先は、総じて「小売業(スーパー・専門小売店、その他小売店)」が最も多くなっている(図11)。

図11 豚肉の販売先

 規模別では、国産豚肉は、大手食肉卸は「スーパー(64.5%)」が最も多くなっているのに対し、中小食肉卸は「食肉卸(23.8%)」、「その他外食(17.2%)」、「スーパー(17.1%)」の順で多くなっている。

 一方、輸入豚肉は、大手食肉卸は「スーパー(36.6%)」、「食品製造業(22.8%)」が多くなっているの対し、中小食肉卸は「自社加工向け(34.4%)」、「食肉卸(25.0%)」が多く、「スーパー」は約1割となっている。

オ 販売形態

 食肉卸の豚肉の販売形態は、「部分肉パーツ」が約7割を占めている(図12)。

 国産豚肉は、「部分肉フルセット(45.7%)」と「部分肉パーツ(42.8%)」は、ほぼ拮抗きっこうしている。

図12 豚肉の販売形態−部分肉セット・パーツ区分−

 規模別では、国産豚肉は、大手食肉卸は「部分肉フルセット(53.8%)」が「部分肉パーツ(43.9%)」を上回っているのに対し、中小食肉卸は「部分肉パーツ(41.6%)」が「部分肉フルセット(36.8%)」を上回っているほか、「精肉(13.1%)」による販売もある。

 一方、輸入豚肉は、ほとんどが「部分肉パーツ(96.7%)」となっているが、中小食肉卸では「精肉(20.0%)」による販売もある。

2 食肉小売業者の取引実態

(1)牛肉

ア 仕入先

 スーパーの国産牛肉の仕入先は、「大手食肉卸(50.1%)」と「中小食肉卸(38.6%)」を合わせた約9割が食肉卸となっているのに対し、専門小売店は、「中小食肉卸(44.4%)」、「食肉卸売市場(29.2%)」、「大手食肉卸(24.0%)」の順で多くなっている(図13)。

 このように、食肉卸からの仕入れが主体となっているが、専門小売店では「食肉卸売市場」からの仕入れが多いのが特徴である。

図13 牛肉の仕入先

イ 品種別仕入割合

 スーパーの品種別仕入割合は、「交雑牛(28.7%)」、「輸入チルド(23.0%)」、「和牛(21.9%)」の順で多くなっているのに対し、専門小売店は和牛が8割と最も多くなっている。スーパーでは販売量が多いことから、単価の高い交雑牛から単価の安い輸入牛肉まで幅広い消費者需要に応じた品種を揃えているのに対し、専門小売店では和牛の仕入れに特化している(図14)。

図14 牛肉の品種別仕入割合

ウ 仕入形態

 スーパーの国産牛肉の仕入形態は、「部分肉パーツ(56.3%)」と「部分肉フルセット(36.5%)」で約9割に達しているのに対し、専門小売店は「部分肉パーツ(68.2%)」、「枝肉(14.8%)」、「部分肉フルセット(9.8%)」の順となっている(図15)。

 一方、輸入牛肉は約8割が「部分肉パーツ」となっている。

 なお、専門小売店の仕入形態を国産牛肉の品種別に見ると、乳牛は「部分肉パーツ(72.7%)」に次いで「精肉(27.3%)」が多くなっている。また、輸入牛肉フローズンは「部分肉パーツ(70.9%)」に次いで「精肉(27.7%)」が多くなっていることが特徴的である。

図15 牛肉の仕入形態
注:仕入数量が多い順に1位が3点、2位が2点、3位が1点として集計した。

エ 仕入時の整形状態

 スーパーの国産牛肉の仕入時の整形状態は、約9割が「小割規格」となっているが、専門小売店は「ノーマル規格(48.2%)」と「小割規格(44.6%)」でほぼ二分している(図16)。

 スーパーでは「小割規格」により経費削減および省力化を図っているのに対し、専門小売店では加工手数料などの利益を少しでも確保するために「ノーマル規格」が多くなっていると考えられる。

 一方、輸入牛肉の仕入時の整形状態は、9割以上が「パッカー規格」となっている。

図16 牛肉の仕入時の整形状態

(2)豚肉

ア 仕入先

 スーパーの仕入先は、国産豚肉、輸入豚肉ともに「大手食肉卸」が最も多くなっているのに対し、専門小売店は「中小食肉卸」が最も多くなっている(図17)。

 このように食肉小売業の仕入先は食肉卸が主体となっている。

図17 豚肉の仕入先

イ 仕入形態

 スーパーの国産豚肉の仕入形態は、「部分肉フルセット(46.5%)」と「部分肉パーツ(47.7%)」でほぼ二分しているが、専門小売店は「部分肉パーツ(50.6%)」と「枝肉(34.4%)」が多くなっている(図18)。

図18 豚肉の仕入形態

ウ 仕入時の整形状態

 スーパーの国産豚肉の仕入時の整形状態は、「小割規格(55.9%)」が「ノーマル規格(42.6%)」を上回っているが、専門小売店は「ノーマル規格(55.6%)」が「小割規格(33.3%)」を上回っている(図19)。

 スーパーでは「小割規格」により経費削減および省力化を図っているのに対し、専門小売店では加工手数料などの利益を少しでも確保するために「ノーマル規格」が多くなっていると考えられる。

図19 豚肉の仕入時の整形状態

(3)スーパーの店外加工の実態

 スーパーの店外加工(アウトパック)の割合は、単価が安く、品質格差が少ない「国産豚肉(25.8%)」が最も多く、次いで「国産牛肉(14.1%)」、「輸入豚肉(13.0%)」、「輸入牛肉(12.0%)」の順となっている(図20)。

図20 スーパーの精肉部門におけるアウトパックの割合

 今後の意向として、「輸入牛肉(48.4%)」、「国産豚肉(39.4%)」、「国産牛肉(37.5%)」、「輸入豚肉(33.3%)」の順で店外加工を増やしたい意向がある(図21)。

 また、「導入予定(12.5%)」と「導入を検討中(28.1%)」を合わせると約4割となっている(図22)。

 スーパーにおける経費削減、人手不足、技術者不足などは、小売業全体に関わる大きな問題となっており、スーパーの店外加工は今後も増加すると見込まれる。

図21 スーパーにおける店外加工(アウトパック)の今後の意向
図22 スーパーにおける店外加工(アウトパック)の今後の導入意向

3 仕入価格および販売価格の適用期間

(1)食肉卸

ア 国産牛肉

 食肉卸が仕入先との取引において決定した国産牛肉の仕入価格が適用される期間は、「日(36.7%)」、「月(30.7%)」、「週(24.7%)」の順となっている(図23)。

 販売価格が適用される期間は「月(46.9%)」、「日(20.6%)」、「週(17.5%)」の順となっている(図24)。

 国産牛肉の販売価格の適用期間は仕入価格よりも総じて長くなる傾向にあり、食肉卸は価格変動リスクを負っていると考えられる。

イ 輸入牛肉

 食肉卸が仕入先との取引において決定した輸入牛肉の仕入価格が適用される期間は、「月(54.2%)」、「週(20.3%)」、「日(11.0%)」の順で多くなっているのに対し、販売価格は「月(52.5%)」、「週(16.1%)」、「日(11.0%)」の順となっている(図23、24)。

 輸入牛肉については販売価格と仕入価格の適用期間の差は、国産牛肉ほど大きくないことから、食肉卸が負う価格変動リスクは国産牛肉より低いと考えられる。

図23 牛肉の仕入価格の適用期間
注:複数回答。数値は回答企業数割合であり、取扱規模などによるウエイトづけは行っていない。
図24 牛肉の販売価格の適用期間
注:複数回答。数値は回答企業数割合であり、取扱規模などによるウエイトづけは行っていない。

ウ 国産豚肉

 食肉卸が仕入先との取引において決定した国産豚肉の仕入価格が適用される期間は、「日(34.8%)」、「週(34.0%)」、「月(23.4%)」の順となっている(図25)。

 販売価格が適用される期間は「週(33.6%)」、「月(26.4%)」、「日(24.3%)」の順となっている(図26)。

 国産豚肉の販売価格の適用期間は仕入価格よりも総じて長くなる傾向にあり、国産牛肉と同様、食肉卸は価格変動リスクを負っていると考えられる。

エ 輸入豚肉

 食肉卸が仕入先との取引において決定した輸入豚肉の仕入価格が適用される期間は、「月(53.4%)」、「週(18.1%)」、「日(14.7%)」の順となっているのに対し、販売価格は「月(46.2%)」、「週(17.1%)」、「日(13.7%)」の順となっている(図25、26)。

 輸入豚肉については、販売価格と仕入価格の適用期間の差は、国産豚肉ほど大きくないことから、食肉卸が負う価格変動リスクは国産豚肉より低いと考えられる。

図25 豚肉の仕入価格の適用期間
注:複数回答。数値は回答企業数割合であり、取扱規模などによるウエイトづけは行っていない。
図26 豚肉の販売価格の適用期間
注:複数回答。数値は回答企業数割合であり、取扱規模などによるウエイトづけは行っていない。

(2)食肉小売業者

ア 牛肉

 スーパーが仕入先との取引において決定した国産牛肉の仕入価格が適用される期間は、「月(64.7%)」、「週(17.6%)」の順となっているのに対し、専門小売店は、「日(45.5%)」、「週(27.3%)」の順となっている(図27)。

 一方、輸入牛肉の仕入価格が適用される期間は、スーパーでは「月(79.4%)」、「週(9.5%)」の順となっているのに対し、専門小売店では「日(54.5%)」、「週(18.2%)」の順となっている。

 スーパーは、国産牛肉・輸入牛肉の仕入価格の設定を主に月単位で行っているのに対し、専門小売店は、国産牛肉を食肉卸売市場から枝肉で仕入れる割合が多いことから、日単位が多くなっていると考えられる。

図27 牛肉の仕入価格の適用期間

イ 豚肉

 スーパーが仕入先との取引において決定した国産豚肉の仕入価格が適用される期間は、「週(47.1%)」、「月(33.8%)」の順となっているのに対し、専門小売店は、「日(50.0%)」、「週(27.8%)」、「その他(16.7%)」となっている(図28)。

 一方、輸入豚肉の仕入価格が適用される期間は、スーパーでは「月(78.1%)」、「週(15.6%)」となっているのに対し、専門小売店では「日(37.5%)」、「週(31.3%)」、「月(25.0%)」の順となっている。

 スーパーは、国産豚肉の仕入価格の設定を主に週単位で行い、輸入豚肉は主に月単位で行っているのに対し、専門小売店は、国産豚肉・輸入豚肉ともに主に日単位で行っている。

図28 豚肉の仕入価格の適用期間

(3)外食・総菜業者

ア 牛肉

 外食・給食が仕入先との取引において決定した国産牛肉の仕入価格が適用される期間は、「月(23.7%)」、「日(22.6%)」、「その他(18.3%)」の順となっているのに対し、総菜・弁当は「日(41.7%)」、「その他(25.0%)」の順となっている(図29)。

 一方、輸入牛肉の仕入価格が適用される期間は、外食・給食は「月(35.0%)」、「四半期(16.3%)」、「年間(10.0%)」の順となっているのに対し、総菜・弁当は「日(27.8%)」、「半年(16.7%)」の順となっている。

 外食・給食は国産牛肉・輸入牛肉の仕入価格の設定を主に月単位で行っている。総菜・弁当は主に日単位で行っている。

図29 仕入価格の適用期間

イ 豚肉

 外食・給食が仕入先との取引において決定した国産豚肉の仕入価格が適用される期間は、「月(29.1%)」、「その他(19.0%)」、「日(17.7%)」の順となっているのに対し、総菜・弁当は、「その他(28.6%)」、「日(21.4%)」、「月(21.4%)」、「年間(21.4%)」の順となっている(図30)。

 一方、輸入豚肉の仕入価格が適用される期間は、外食・給食では「月(38.1%)」、「その他(19.0%)」、「四半期(17.5%)」の順となっているのに対し、総菜・弁当では「日(27.8%)」、「その他(22.2%)」、「半年(16.7%)」の順となっている。

 外食・給食は、国産豚肉・輸入豚肉の仕入価格の設定を牛肉と同様、主に月単位で行っている。総菜・弁当は日単位の取引は牛肉ほど顕著ではない。

図30 豚肉の仕入価格の適用期間

(参考)調査の概要

1.調査方法:アンケート調査および聞き取り調査

2.調査対象数と回収率

3.調査期間:平成26年7月〜12月


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