需給動向 海外

◆米 国◆

2016年の牛肉生産量、下方修正するも依然前年を上回る見込み


枝肉重量は4年5カ月ぶりに前年を下回る

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月23日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年5月のと畜頭数は、前年同月比5.7%増の251万4000頭となった。牛肉生産量は、同5.4%増の92万1000トンとなり、4カ月連続で前年同月を上回った。また、平均枝肉重量は、同0.2%減の368キログラムとなり、2011年12月以来初めて前年同月を下回った(図1)。この要因についてUSDAは、トウモロコシ価格の上昇を受けて、フィードロットが飼料コストを最小限に抑えるために、肥育期間を短縮したことを挙げている。



2016年の牛肉生産量についてUSDAは、今後も肥育期間の短縮傾向が続くとみられることから、前月の予測値から6万1000トン引き下げ、前年比4.1%増の1119万2000トンとしたものの、依然として前年を上回ると予測している。

牛肉卸売価格は12カ月連続で前年を下回る

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が6月28日に公表した「Livestock Prices」によると、2016年6月の肥育もと牛価格は、前年同月比41.8%安の100ポンド当たり147米ドル(1キログラム当たり337円:1米ドル=104円)と、牛群の再構築の進展により前年を大幅に下回った。また、肥育牛価格は、同123.5米ドル(同283円)となった。

同月の牛肉卸売価格(注)は、供給量の増加を受けて、同11.2%安の同222米ドル(同509円)と、2015年7月以降前年を下回って推移している(図2)。

(注) チョイス級、600〜900ポンドのカットアウトバリュー。カットアウトバリューとは、各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。



牛肉輸出量は増加見込み

USDA/ERSが6月6日に公表した「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2016年4月の牛肉輸出量は前年同月比5.3%減の8万6000トンとなった(図3)。主要国別に見ると、米ドルに対しカナダドル安で推移する為替相場を背景に5カ月連続で前年を下回るカナダ(前年同月比6.8%減)に加え、日本(同10.9%減)、韓国(同0.1%減)、香港(同36.9%減)などでも前年を下回った。一方、メキシコは、同32.9%増の1万6000トンとなった。この要因についてUSDAは、米国産牛肉の卸売価格の下落がさらなる需要を喚起したとしている。

2016年の輸出量についてUSDAは、供給量が減少するとみられる豪州産牛肉の代替としての米国産への需要の高まりにより、前年比8.1%増の111万1000トンとかなりの増加を見込んでいる。



(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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